2009年01月20日

『マイティ・ハート/愛と絆』 WOWOW放送で

マイティハート2.jpg あと数時間すると、米国史上初の黒人大統領が誕生しますね。 これをきっかけに奢らず貶めず、奉仕と平等の精神を忘れない国になれば素敵なのに・・と思うのは甘い幻想でしょうか。。 そんな折、劇場で見逃したこの作品をWOWOWで放送されたので鑑賞しましたが、想像以上に良い作品だったので一言。

 内容はあの”9.11”の翌日パキスタン入りし、米国軍がタリバンを制圧した後も残留し取材を続け、テロリストに誘拐殺害された実在のジャーナリスト=ダニエル・パールの妻が著した手記を映画化したもので、妊娠5ヶ月の身重ながら自宅を開放し、気丈にも夫の捜索に全力を尽くす妻マリアンヌと、捜査を担当する現地のスペシャリストや夫妻の友人や仕事関係の人々との息詰まる日々をドキュメンタリータッチで描いている。

 何故この作品が素晴らしいかというと、”マイティ・ハート”のタイトルにあるように、モデルとなったジャーナリスト夫妻のテロに屈しない”強い心”と同時に、ダニエル・パールと彼を育てた両親の人種や宗教を越えた異文化を理解しようとする姿勢がキチンと映画(原作)に込められていたから。

 イスラム過激派の犠牲になったダニエルが”ユダヤ人”であった事はとても重要で、彼は出自をテロリスト達に隠さず、それについて誇りを持って抵抗したのが、殺害の理由と考えられる(人質解放の条件はグランタナモ基地に拘留されているイスラムの同胞を釈放せよという事だったがその要求が通らなかったというだけではなさそう)のだけど、その両親がまた素晴らしい。 息子が愛した女性マリアンヌはオランダ系ユダヤ人とアフロ=ラテン系キューバ人、中国系キューバ人の血を引く両親の間に生まれた黒人ハーフで仏教徒。 その彼女を「わが娘」と可愛がり、最愛の息子が誘拐されてからも彼女を励まし続ける。 

 ダニエルが殺害された後、全力で協力してくれた捜査陣や友人達に「これは敗北ではない」と労う事を忘れず、パキスタンのマスコミのインタビューに答えて『私はパキスタンを愛しています。ダニエルのほかに10人の人が亡くなっているけれど、その人たちはみんなパキスタン人でした。つまりパキスタンの人たちも私たちと同様に苦しい思いをしているのです』と答えたマリアンヌも本当に立派だけれど、息子の死後、財団を設立して異文化間の理解促進活動に携わっているというダニエルの両親にも本当に感服。 この映画を作った本意はココにあると言えるでしょう。 私を含めて凡人俗人には到底真似出来そうにない高潔な心。

 この世界に現実に起こっている沢山の理不尽なことを、ドラマでありながらドキュメンタリー・タッチで描くのが得意なマイケル・ウィンターボトム監督の手腕がここでも冴え渡っていて、実際に危険を顧みずパキスタンでロケした映像は真に迫り、私たちを不安に落とし入れるのに十分。 常にジャーナリストとして気丈に振る舞いながらも、時折ふっと折れそうになる心を必死に抑えるマリアンヌの描き方も良い(アンジー熱演)。 

 ちなみにこの監督、ダニエル殺害犯を収監しているキューバのグアンタナモ基地における米兵によるタリバンいじめの酷い実情を描いた映画『グアンタナモ、僕達が見た真実』も撮っている。 

一言、と言いながら長くなってしまったー
新しい大統領よ! 世界にお手本となるような国を作ってちょうだいね!
posted by マダムS at 21:36| Comment(4) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は途中から、30分位経過してから見たので、
そうですね、ドキュメンタリータッチでの描き方が良かったと思いました。

>パキスタンでロケした映像は真に迫り、私たちを不安に落とし入れるのに十分。
やはり、現地ロケしたんですか。私も本当に不安に駆られましたよっ。

私はダニエルの捜査で、当地の全力で協力してくれた捜査陣や友人たちの暖かい、そして、熱心な心にも感動しました。
というのは、日本でもイラクで誘拐されたり、殺された件があったときに、日本人のバッシングが結構あったし、彼らの家族もさも悪いことをしたような身を潜めていた感じでしたから・・・。

まだ、全編見ていないので、全容をつかんでいないので、またじっくり鑑賞したいと思います。
でも、マダムが書かれている事は私も感動したところですが・・・。

新大統領の就任式やレトロな列車でのワシントン入りなどをみると、さすがハリウッドのある国、
素晴らしい一大イベントだと思えました!!
そうそう、グアンタナモ基地も廃止するそうですよねっ。「グアンタナモ〜〜」の作品も鑑賞したいですが・・・。
Posted by 紫の上 at 2009年01月23日 11:33
★紫の上さん
 >新大統領の就任式
ほんと、さすがアメリカ!でしたね〜 寒そうなワシントンでしたが人々は熱い! そうそう!早速の仕事に”グアンタナモ収容所の廃止”があったのはさすがだと思いました〜
ウィンターボトム監督の『グアンタナモ、僕達が見た真実』を見ると、どんなに酷い状態だかが良くわかります。もちろん中には本当のテロリストもいるかもしれませんが、アラブ人だと言うだけでまったくの濡れ衣で収容されてる人もかなりいるらしいですから・・。

 >ダニエルの捜査で、当地の全力で協力してくれた捜査陣や友人たちの暖かい、そして、熱心な心

ジャーナリスト同士の絆みたいのもあるでしょうし、多分、ダニエル夫妻の人柄に惹かれての事も大きいのではと思いましたよ〜。「この人の為なら」って感じ。 みんなの心が一つになって行く様は心打たれましたよね〜〜。とても悲しい結果ではありましたが、これだけの人々が人種宗教を超えて一生懸命助けようとしたという事実は、あの息子ちゃんが大きくなった時にきっと自信になるのではと。。途中、祈りのシーンがあって、あのキャプテンはイスラム教でしたからね・・。
日本の場合とはちょっと違うかもですね・・うーん。。
またつい、熱く語ってしまいました(^^;)
 
Posted by マダムS at 2009年01月23日 16:20
マダム、お元気ですか〜?
インフルエンザが猛威を振るっていますので、お体大切にして下さいネ。
私も外出にはマスクが必需品です、後は快食快眠がね、大事ですね^^ゞ

ところで今朝のTVを観ていたら ブラピ&アンジーがたくさんの子供を連れて来日していましたね。
スクリーンの二人からは想像が出来ない位、アットホームで微笑ましい印光景でした。

9.11以降、このテーマを描いた作品を観る機会が増えましたが いつも本当に息苦しくて観続ける事が辛くなります。
この作品は 調度「パラダイス・ナウ」と同時期に観たので それぞれの立場での現実を知る事になり 善悪を超えたところでの憎しみの構図の一端を見た気がしました。
マリアンヌという人物はその血から異文化交流の象徴のような人物でしたね。
彼女をヒロインに据えた意味も深いと思います。
そしてマダムもおっしゃっているように ダニエルのご両親の心こそ、今、一番大切なメッセージなのではないでしょうか。
そうそう、アンジーのフランス訛の英語が可愛かったですね〜、後、南無阿弥陀仏でしたっけ? あれも可愛かった・・なんて言っては叱られるかもしれませんが(笑)

オバマさんで世界が良い方向に変わるといいですね〜〜、心からそう思います。
Posted by カポ at 2009年01月28日 09:53
★カポさん
はーい、有難う〜なんとか元気でおりますぅ〜
マスク&快食快眠!しておりますよー(笑)
カポさんこそ大丈夫ですかー?

ブランジェリーナ&キッズ!!来日したんですねー 映像ちゃんと見てないので、これからネット検索してみますね^^そうでしたか〜すんごいですね!!
そういえば、「すべては愛のために」ではなんとなく違和感あったアンジーだったけど、あれよあれよとこれほどまでに成長して実生活でも徹底したグローバル化?(笑;)になだれ込むとは本当に想像出来ませんでしたが・・立派なものですね。 ヒロインのマリアンヌを演じるのにふさわしいキャスティングだったのではないでしょうか〜! それにそうなんですよ〜もうあの両親が素晴らしいと思って。

あ、「パラダイス・ナウ」は未見でしたっ!
今度レンタルして見ます。 色んな角度から現代史をお勉強せねば。。
あ〜なんとなくいつもと違う?アンジーの英語・・フランス語訛りだったのね〜
オバマさんね、真の意味での世界のリーダーシップをとって欲しいですよね^^
Posted by マダムS at 2009年01月28日 22:00
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