2009年05月06日

有楽町でイタリア映画祭2009

今年も選りすぐりの秀作話題作12本(長編)+短編1本が上映映画 公式サイト
イタリア映画祭.jpg

鑑賞したのは次の6本〜☆


『見わたすかぎり人生』Tutta la vita davanti
[2008年/117分]監督:パオロ・ヴィルツィ
tutta-la-vita-davanti.jpg 大学の哲学科を優秀な成績で卒業したものの、希望の職種になかなか就けない新卒女子! 偶然ベビーシッターとコールセンターのパート職を同時にゲットしたものの・・”明るく軽い”同僚達や、いけいけカリスマ上司などの”異人種”ワールド、怪しい浄水器を売るために生き馬の目を抜く競争論理が蔓延るセールスの世界などの洗礼を浴びつつ、健気な頑張りで次第に頭角を現して来るのだが・・。
若い女性の成長物語(人生勉強ものがたり)ではあるけれど、就職難、非正規雇用の問題などなど、イタリアに限らない(日本も)昨今の世界的経済不況を見越したような、身につまされるようなテーマを盛り込んでおり、能天気なばかりでない味のあるコメディに仕上がっていた。 笑って笑って最後にはちょっぴりジーン〜イタリア映画らしいユーモアとペーソスに溢れた作品だ。ヒロイン役の女優さん可愛いですとてもハートたち(複数ハート) 
しかし久々にエリオ・ジェルマーノこんな役がく〜(落胆した顔)逢えるとは! 

『ミケランジェロのまなざし』Lo sguardo di Michelangelo
[2004年/短編.15分] 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 
 巨匠アントニオーニが、もう1人の芸術家ミケランジェロが彫った大理石の彫像をローマの教会へ訪ねる自身の姿を撮影したドキュメント。 
音楽や余計な音声は一切無い静寂な世界。作品を見つめ、触れ、思索にふける1人の芸術家と、作品を生み出した”大過去”の天才同士の静かな会話劇なのかな・・15分という短い作品なのに、前方の座席のトラブルで集中力欠いたまま その世界に置いてきぼりされてしまったよ。。うーむ。

『プッチーニと娘』Puccini e la fanciulla
[2008年/84分] 監督:パオロ・ベンヴェヌーティ
 トスカーナの美しい湖畔の屋敷で「西部の娘」の作曲中のプッチーニとの間を妻に疑われて犠牲になった純真なメイド。その顛末をギリギリまで台詞を廃した手法で再現しているものの、ドキュメンタリではなく明らかに詩的で静かなドラマ。静か過ぎてちょっと寝ましたゴメンナサイ!

『ソネタウラ−“樹の音”の物語』 Sonetàula
[2008年/117分] 監督:パオロ・ヴィルツィ
 sonetaula.jpg イタリア本島の西、地中海にぽっかり浮かぶ島サルデーニャを舞台に・・と言ってもリンクさせたYoutubeに出てくるような風光明媚な海岸線や緑豊かな山地などの観光名所などは一切出てこない。 冤罪で父親を逮捕されたソネタウラ(樹の音)というあだ名の少年の激動の半生をじっくりじっくり描いた作品である。父親の後をついで12歳で羊飼いとして働くことになった少年は、18歳の時に人生を大きく狂わせる事件を起こしてしまう。 幼馴染で初恋の少女への想いも遂げられず、その後の不器用な生き方が切ない。 主人公を演じた少年の思春期でしか持ち得ない”射るような鋭い目つき”がいつまでも心に刺さって痛い。

『イル・ディーヴォ』 Il divo
[2008年/110分] 監督:パオロ・ソレンティーノ
08年カンヌ国際映画祭審査員賞
 マフィアとの癒着やそれにまつわる数え切れない程の殺人の容疑で裁判にかけられた戦後イタリアを代表する政治家の一人、ジュリオ・アンドレオッティ元首相をモデルに、イタリア政界のオドロキの裏側を描き、圧倒的権威に翳りが見え始めた元首相の晩年がスタイリッシュなカメラワークで鮮やかに炙り出された傑作。 限りなく本星に違いないのに何故か無罪放免され90歳の今もご健在の実在の人物をここまでコケにした映画もスゴイし、その勇気には驚嘆する。 演じた名優トニ・セルヴィッロの成りきり度も素晴らしいです。

『ゴモラ』Gomorra
[2008年/135分] 監督:マッテオ・ガッローネ
08年カンヌ国際映画祭グランプリ
 昨年のカンヌを席捲したイタリア映画の2本。1本は上記の「イル・ディーヴォ」で もう1本がこの作品。 こちらもまた原作となるノンフィクション小説を書いた作者が、マフィアに命を狙われて国外脱出を余儀なくされたなどという物騒なオチまで付いた問題作。 ナポリに蔓延る”カモッラ”という実在のマフィアが、一般市民の生活にまで大きく影響を及ぼしている実態を5つのエピソードの同時進行で赤裸々に描いている。 こうも簡単に人が殺せるのか!?と「イル・ディーヴォ」と共に現実の話だからこそ余計に身の毛がよだつ思い。 一方で、武器は持たずともゴミの不法投棄で汚く儲ける実業家の怪物ぶりに失望した青年が 意を決して社長と決別するシーンだけが唯一の救いだ。


今年鑑賞した作品はどれも素晴らしいが、カンヌ受賞作2本と、唯一のコメディ「見わたす限り人生」と「ソネタウラ」は 今年のベスト10に入るかも。

posted by マダムS at 22:34| Comment(16) | TrackBack(1) | イタリア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは(^^)
楽しまれたようで何よりです(^^)
私も何か観たかった(−−)
ですが、去年の映画祭作品「湖のほとりで」(だっけ?)とか「副王家の血筋」(だっけ?)とかが相次いで公開決まっているので、上記作品も観れる機会あるかも?と思ってます。(DVDでこっそり出てたりもしますしね)
それにしても、カンヌ作品でさえ公開率低いのが寂しいです。去年のパルムドールなんか(仏作品ですが)公開のウワサも聞かないですし。。。
Posted by わかば at 2009年05月08日 22:34
一本だけ見ましたが、マダムが見ていない作品です。(笑)
去年の百本の釘も「タイトルポー川のほとり」で公開されますね。
Posted by MACHI at 2009年05月08日 22:50
★わかばさん
コメントどうもです♪
映画祭は今年も大変な盛況で、年々当日券入手は難しくなっているかも(ーー;)そんな朝早くから夕方上映分のなんか買いに来れませんよねぇ〜(ーー;) イタリア映画の一般公開率の悪さのせいだと思うのですが・・ でもそうそう!昨年の3本(もう1本は『百本の釘』タイトル変更後→『ポー川のひかり』)がなんとか公開されるのですよね。「副王家」はチケット持っていたのにダウンして見れなかった作品なのでリベンジしたいです。 
今年のは『ジョバンナのパパ』だけ公開決まってるみたいです(来年だけど(汗))。 
ほんと、カンヌ受賞作を公開しないってどういうことよっ!って感じですよねえ!! 『ENTRE LES MURS』は私も観たいので、こっそりでも(笑)いいからDVD化して欲しいですね。

Posted by マダムS at 2009年05月08日 22:59
★MACHI さん
おっ! 何をご覧になったのかしら!?
『赤い肌の大地』か『ジョバンナのパパ』かな?
今年はゲスト登場の前半に来れなかったので、クラウディオ・サンタマリアに逢えなかったのだけが悔やまれて(笑)
『百本の釘』は『ポー川のひかり』にタイトル変更になって公開ですね〜 ひかりって・・まあ「釘」よりは詩的な感じはしますもんね(笑)
Posted by マダムS at 2009年05月08日 23:06
結局、マダムとは会えなかったー;;
3日は当日券に泣きました;涙
朝一の作品は見れたんですが。
今年は音楽祭の方へは飲み食いに通い(爆)、映画祭はやはり前半で見て堪能した感じです。
で、ジェルマーノ君も何気に映画で再会していたのですねっ!へー、どんな役だったのでしょう??「見わたす…」は見れなかったので、ちょっと悔やんでますぅ。。。
そうそう、「釘」っていうとなんとなくサスペンスチックでホラーかいな?って思っちゃう私;なんとなく釘が何本もグサッて刺さってる描写はちょっとこわいよーって思ったのを思い出し。笑
そうそう「ひかり」の方が集客できそうかもww
Posted by シャーロット at 2009年05月09日 14:35
★シャーロットさん
ひゃ〜ご無沙汰しております!!
シャーロットさんとはまたトイレで”ばったり”を期待したんですが、前半いらしてたのねー!?私は後半オンリーだったので・・あ、3日も入れ違いですね〜残念(TT)クスン 
当日券はなかなかもうキビシイようですよねぇ。。 ジュルネは堪能されたようで良かったです♪ 私も初めて1公演だけ見たんですよ ふふ。
「見わたす〜」のジェルマーノ君は最初わからんかったです。何処かで観たけど誰やねん状態で(爆) 自信過剰のモーレツ・セールスマンの役でしたが思わぬ失態などあったりで・・DVDになるといいなぁ〜そうしたら見てやって下さいまし。
「ひかり」は「ミルコのひかり」思い出しますねー! そうそうタイトルは重要ですから(笑)

Posted by マダムS at 2009年05月09日 23:15
ぼなせーら。
この6本全部観ましたとも!
なのに、お会いできませんでしたねー。
私、いちいちキョロキョロしてたんですけどー。
(でも、ギリギリ入場も多かった;)
今年は結構、秀作ラインナップな感じでよかったですよねー。
ホント、一般公開されるイタリア映画少なすぎー。

と、『ENTRE LES MURS』は来年岩波で公開予定らしいっす。
Posted by . at 2009年05月10日 01:26
★名無しさん
ぼなせーら! おお〜6本共同じ日だったとしたら、絶対すれ違っているはずですよねぇ!私も今回ばかりは探せませんでしたよー! 結構マリオンとその周辺も1人でウロ付いていたんですが(^^;) って多分○○るさんだと勝手に思い込んでお話してますが(笑)違ったらゴメンナサイ!
おっ『クラス』は岩波ですか!?ル・シネマって感じしますけどね(笑)
『釘』は岩波でぴったりだな〜と思いますた。他の伊映画も岩波でドンドンやって頂きたいなぁ〜 
Posted by マダムS at 2009年05月10日 20:22
マダムは6本ご覧になったのですか。
私は3本でした。
「見わたすかぎりの人生」「運命に逆らったシチリアの少女」「イル・ディーヴォ」でした。
それぞれ、どれをとっても個性的な作品でした。
で、期待しなかった分、私が一番心に響いたのは「運命に〜〜〜」でした。実話の重みがひしひしと伝わって、ラスト衝撃的だったけど、感動しました。
18歳の少女が主役なので、結構肩入れして見てしまったのかも・・・。

あ、それから、座談会とサイン会に出席して、サイン・握手・写真を撮ってきましたよっ。
座談会のクラウディオ・サンタマリアのコメントを聞いて、「赤い肌の大地」も見たくなったし・・・。
それから、マダムもご覧になった「ソネタウラ〜〜」も本当に見たくなりました。(監督のサルヴァトーレのコメント聞いて)
今回はマダムはお仕事の都合で、彼らに会えなくて、とても残念でしたねぇ〜。
代わりに私が会っておきましたが・・・。
まぁ〜、映画鑑賞が本当はメインですもの。映画祭は・・・。
Posted by 紫の上 at 2009年05月11日 16:21
相変わらずイタリア映画には疎くて、知っているのはこのうち2本。

1本はIL DIVOで、見逃しました・・・。

もう1本はゴモラ。これは見ました。衝撃的でした。ああいう環境に生まれる子供って・・・といろいろと考えてしまいました。彼らに人生の選択肢はないんですよねぇ。あるとすればどの派閥に属するかくらいで。派閥に入らなきゃこれまた命に危険があるし。

地域の一部にそういう人たちがいるってのじゃなく、全部というのが本当に恐ろしかった。

いやー、しかしもうイタリア映画祭の時期なんですね!あれから1年とは。
Posted by nouilles-sautees at 2009年05月11日 20:36
★紫の上さん
そうですか!「運命に〜」良かったですか!?観たかった。。実話ものに弱いわたくし・・観ていたらきっと凄く感動していたと思います。
来日ゲストに私の代わりに会って下さいまして有難うございましたぁ(爆)
うわ〜ん、クラウディオ・サンタマリアに会いたかったでしゅ。。
そうそう!監督さんや俳優さんの話を聞くとその作品観たくなりますよね。作り手の想いが伝わるからなんでしょうね〜 『ソネタウラ』は良かったですよぉ〜男の子が主人公のちょっと辛い話ですが、紫の上さんはきっとお好きだと思います。
映画祭で鑑賞出来なかった作品、何処かで一般公開するといいですよねぇ〜せめてDVDお願いしたいですね。
Posted by マダムS at 2009年05月11日 22:42
★nouilles-sautees さん
そろそろそちらではカンヌ映画祭が開幕ですね!
そうですよ〜「IL DIVO」「GOMORRA」がカンヌで話題になってからもう1年経つんですよね〜日本ではやっと!観れました。
いつも映画祭の記事見て下さって有難うございます♪♪

「GOMORRA」の5つのエピソードのうち、あの少年の話は痛ましかったですよねぇ・・あのマフィア村みたいな環境は衝撃的でした。。(ーー;)
「IL DIVO」はとっても面白いのでDVDででも是非! 2年前にみた「家族の友人」も最高でした。
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞は結局作品賞、監督賞共「GOMORRA」がさらいましたけど、ソレンティーノ監督は今後要チェックな若手監督だと思われます。
Posted by マダムS at 2009年05月11日 23:03
マダムSさんの素晴らしいレビューを拝読し、10本も見たにもかかわらず、半分くらいの作品でうとうとしてしまった自分が情けなくなってしまいました(^^;
去年大丈夫だったので、今年も10本いけると思ったんですけどね〜、来年は作品を絞って集中して観た方がいいかなとふと思いました。

本物のアンドレオッティの写真を見たら、トニ・セルヴィッロのアンドレオッティがあまりにそっくりで、パロディかと思ってしまうほどでした(笑)。
il divoは、当時の政治や時代背景をもう少し勉強してからもう一度見たいな〜と思います。

それにしても絶対すれ違っていましたよね。案外お隣同士で観ていたりして。。。^^
Posted by puntarellina at 2009年05月16日 00:59
★ puntarellina さん
コンニチワ〜 私の拙いレビューを読んで下さったなんて!有難うございます♪
こういった映画祭は、ホント、体力勝負ってなところ、ありますよねぇ〜 一日に3本は私もさすがにキツイですぅ〜 なので2本位だと、まあ一応睡眠せずに観れますね(笑)
作品の選び方も難しい!自分のスケジュールとなかなか合いませんしね。(ーー;)

アンドレオッティ首相の写真、ウィキで見ましたけれども本当にそっくりなんで笑ってしまいました。正にパロディですよねぇ〜
映画で描かれた時代背景は私はもっぱら映画からの情報で(汗)、 puntarellina さんもご覧になっていらっしゃる『輝ける青春』『夜よこんにちは』『ペッピーノの百歩』などなどで、なんとなく予習した気になっておりました(笑)ちゃんと勉強したらもっと良くわかりそうですよね^^
Posted by マダムS at 2009年05月16日 13:28
お久しぶりです。「ゴモラ」怖かったですね。ナポリは昔ちょこっと寄っただけですが、これを観たら、もうとても行けないかもと思いました。
il divoを初め、こちらに紹介されている他の作品もとても興味があります。
Posted by nono at 2009年06月03日 23:16
★nono さん
お久しぶりです! コメント有難うゴザイマス♪
以前より劇場へ通う回数がめっきり少なくなり、ブログもすっかり放置状態になってしまいました(ーー;)すみません〜
>「ゴモラ」
後からじわっと背筋が寒くなるような作品でしたねぇ・・ ナポリは私ももう一回行きたい街なんですけど、ほんと、怖くて自由旅行では無理かも?ですよね。
イタリア映画に興味を持って頂いてとても嬉しいです。 日本での一般公開ではなかなか観られませんが、nonoさんでしたらフランスでご覧頂けるかもしれませんね(^^)
Posted by マダムS at 2009年06月04日 23:24
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