2004年08月17日

平和映画祭in横浜 ’04夏

kirisima.bmpafgan.bmp
毎年夏に地元の映画館で開催される「平和映画祭」では 平和を願って”戦争”を知る為の 名作映画が上映される。
今年のラインアップは
『ヒバクシャ 世界の終りに』『灰の記憶』『ボウリング・フォー・コロンバイン』
『イン・ディス・ワールド』『アフガン零年』『美しい夏キリシマ』

その中から2本を鑑賞してきました。


『美しい夏キリシマ』 2002年日本
2003年度 キネマ旬報 日本映画1位
監督 : 黒木和雄
出演 : 柄本 佑、小田エリカ、石田えり、香川照之、左 時枝、原田芳雄 他

1945年夏。 敗戦の影が忍び寄る中、霧島を仰ぐ南九州の美しい村では戦争という悲惨な出来事に傷ついた人々がそれでも一生懸命に生きている・・。
中学3年の康夫は、満州に住む家族と別れ、厳格な祖父のもとで暮らしているが、跡取りに育てようという祖父の思惑に反し、康夫は空襲のショックで肺浸潤にかかり、ぼんやりと自宅療養の日々を過ごしていた。目の前で親友が爆死し、彼を見殺しにして逃げたことから、康夫は日々罪悪感に苛まれ、自分の居場所すら見つけられない。意を決して、死んだ親友の妹に会いに行くが、追い返されてしまう。

戦争というテーマを扱っていながら、この映画には人が沢山死ぬような凄惨な戦場のシーンなどは一切出てこない。
あくまでも蒼く澄み渡る空と美しい自然に囲まれた片田舎で・・親友や夫の死を受け入れられずに苦しむ人々を静かに描き、ユーモアさえも交えながら優しく見つめている。 ラストは前向きに一歩を踏み出すであろう登場人物達にいつしか勇気ももらっている。
主役に抜擢された柄本君は あの柄本明の息子さんだそうで・・なるほど、彼の亡羊とした魅力は父親譲りか?揺れるハート 自然と笑わせてくれる。
脇を固めた名優達の演技もこの作品をより質の高いものにしてくれていると思う。


『アフガン零年』2003年/アフガニスタン・日本・アイルランド作品

監督・脚本・編集 : セディク・バルマク
出演 : マリナ・ゴルバハーリ
2003年カンヌ国際映画祭カメラドール特別賞
2004年ゴールデングローブ賞外国語映画賞ノミネート

23年にもおよぶ長い戦争が終結したアフガニスタン。本作はその復興第一作。
父や兄を戦争で失い、タリバン政権の抑圧の下で生きる12歳の少女とその母。
病院で働いていた母親は、タリバンが女性の一人歩きを禁止したことにより、就労への道が閉ざされる。 母親は少女の髪を切り、少年と偽って働かせる事を思いつくが・・。
ヒロインを演じた少女は、内戦で故郷を追われ、物乞いで生き延びていた難民の少女。
撮影中に悲惨な戦争を思い出しては涙が止まらない彼女の姿に、悩んだ末、監督は希望を表す虹のシーンをすべてカット、あえて悲しい現実だけを我々に突きつける事によって、甘くは無い悲惨な戦争を描いたようだ。

いろんな形の戦争映画を見てきたが、これはまた特別な感じ。
イスラムの教えをタリバン政権がより違った方向に捩じ曲げた特別な掟が、女性に対してあまりに惨い様を描いている。 ニュースなどで少しは知っていたが、ここまでとは!!! 
少年の姿に外見は変えても、隠せなかった月経の始まりで、秘密が発覚してしまうのだが、処刑を逃れたかと思いきや、そこはまた生き地獄のような生活が待っているという とことん救いようがない展開に・・
日本に生まれた我が身をしあわせとつくづく思うのであった・・
この記事へのコメント
「美しい夏キリシマ」について。
タイトルどおり美しい自然が、一層、戦争の時代の悲哀や苦悩を際立たせるような、そんな作品でしたね。
Posted by syunpo at 2007年04月22日 09:33
★syunpoさん
コメント有難うございます!
抜けるような青い空と霧島は、どんな苦しい時代も今の平和な時代も、じっと人々の営みを優しく見つめているような・・変らない美しい自然を描きたかったのでしょうか。
黒木監督が偲ばれますね。
Posted by マダムS at 2007年04月22日 15:25
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生き延びることの苦悩
Excerpt:  映画監督の黒木和雄が他界して早一年が経とうとしている。晩年の彼は、戦争を題材にした作品を続けて世に送り出して、注目を集めた。  平和はつらいものだがそれに耐えねばならない、と述べたのは仏文学者の渡..
Weblog: コラムニスト宣言
Tracked: 2007-04-22 09:24
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