2006年09月11日

『ランド・オブ・プレンティ』 DVDで

9.11米同時多発テロから ちょうど5年がたつんですね..
今日はきっとあちこちで追悼イベントや記念番組などあるでしょう。
私は私らしく、つい最近やっとDVD鑑賞かなったこの素晴らしい作品の感想を。

プレンティ.jpg『ランド・オブ・プレンティ』 (原題:Land Of Plenty)
2004年 アメリカ/ドイツ
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:マイケル・メレディス、ヴィム・ヴェンダース
出演:ミシェル・ウィリアムズ、ジョン・ディール、リチャード・エドソン、バート・ヤング 他
2004年ヴェネチア国際映画祭 ユネスコ賞受賞

ポール 「あの日、3000人以上の一般市民が殺された・・罪のない人ばかり」
ラナ 「ええ、その人たちの声を私は聞きたいの、報復で人が殺されるのを望まないはずよ」 

ランドオブ2.jpg<Story>**************************
アメリカで生まれ、アフリカ、イスラエルで育ったラナ(ミシェル・ウィリアムス)は10年ぶりにアメリカに帰国する。亡き母から、伯父のポール(ジョン・ディール)への手紙を携えて・・「神様、アメリカに返してくれて感謝します」。 しかし、ロサンゼルスに降り立ったラナは飢えで苦しむホームレスで溢れる街に驚く。 宣教師だった父の紹介でダウンタウンの伝道所に投宿したラナは、ボランティアとしてホームレスの支援活動をしながらポールを探す。 やがて出会えたポールは、あの9.11によって再びベトナム戦争時のトラウマが蘇り、家族や友人と連絡を絶って”母国警備”に命をかける日々を送っていた。
**************************
ランドオブ3.jpg良かったです〜静かに心に沁みる素晴らしい作品でした! 低予算でも優れた作品は作れるという見本のような映画。
20歳のラナは、素朴で純真なキリスト教の信者で、誰に対しても分け隔てなく接する事が出来る天性の優しさを持っている女の子。貧者などの弱い者に対する献身的な尽くし方は感動すら覚えるほど。
片や、叔父のポールはアラブ人と見るとすべてテロリストと決め付け、監視用のフル装備をしたバンで後をつけ回し、「アメリカを守っている」と半ば狂信的な自己満足に陥っている男。 その二人が出会い、ある事件がきっかけでロスからトロナ、そしてNYのグランド・ゼロへ車の旅をするロード・ムービーです。

面白いのは、イスラエルからやって来たラナの方が、前時代的な装備で狭い視野でしか世界を捉えていない叔父のポールよりずっとずっと正しく自分の国=アメリカを知っているところ。 インターネットで世界の窮状を友人と情報交換し合い、同時多発テロの時はアフリカにおり、「アメリカを憎んでいる」”普通の人”たちの歓声に包まれ、”豊か”であるはずなのに何かが間違っている祖国に気づいている・・。
でも、それで叔父をせめたりしない・・「好き」と言い、枯葉剤の後遺症に苦しむ叔父を見て涙を流すラナ。
愛に溢れるこのラナにスクリーンで出会えただけでも幸せになれる作品でした。

ラナ役を演じたミシェル・ウィリアムズ自身も、ご存知「ブロークバック・マウンテン」で共演したヒース・レジャーと結婚し今では一児のママですが、この映画の脚本を書いている段階で監督は「彼女をイメージして書いた」と言うのも頷けるほど、宝石のような輝きを持った女の子でしたね。内面の美しさが溢れていました。

色々違ったアプローチで、数々の作品に描かれてきた同時多発テロ後のアメリカですが、これは難しい論議より何より解りやすい”答え”を示しているように感じました。
まだ未見の方には是非お勧めしたい作品です。

テロやその後の戦争で犠牲になられた方すべての
ご冥福をお祈り致します。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓.jpgサントラも欲しいですねこれ。
映画のタイトルともなったレナード・コーエンの「ランド・オブ・プレンティ」も泣けますが、エンドロールで流れていた曲もいいなあ・・


posted by マダムS at 00:41| Comment(20) | TrackBack(9) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も以前DVDで観ましたが、シミジミといい作品でしたね。
これで、ヒース君の結婚前の奥ちゃま、ミシェル・ウィリアムズを見直しちゃったりしました。^^
世界のスタンスでアメリカを見つめるラナと、アメリカという国のたどったものに、心が病んでいる伯父さん。
ちょっとしたドキドキのシーンもあったりしましたが、何かを変える事は、すぐには難しいけれど・・・人間は愛によって少しずつ変われるのではないか・・って希望がチョッピリ持てたような・・
ラストの二人と、あの跡地からゆっくりとカメラが向けられる空。音楽も良かったですね♪

Posted by ラクサナ at 2006年09月11日 15:38
 ラクサナさん
ご覧になってましたか!コメント有難う♪
そうそう、音楽もとっても心に沁みていいですよねぇ〜歌詞を噛み締めながら涙うるうる・・(サントラも紹介加筆しましたー)
ミシェルは撮影時はまだ子供子供した体型で、本当に天使のような少女でしたね〜
私は依然たまたまCSで見ちゃったTVドラマ「ドーソンズ・クリーク」で、主役のケイティー・ホームズよりミシェルの方が印象深かったので注目してました。子育てが一段落したらまた復帰して欲しい女優さんです。
>人間は愛によって少しずつ変われるのではないか・・
本当にそう信じたいですよね〜・・
Posted by マダムS at 2006年09月11日 20:13
そっかぁ今日は911でしたね。
すっかり忘れてました。
対岸の火事ではダメだ自分…
ところでラナ役の子ってヒース・レジャーと結婚していたのですか!
初めて知りました。
本作ではまだ子供だとばかり思ってたのに。
Posted by 現象 at 2006年09月11日 23:08
こんばんは。TBとコメント、ありがとうございました。

撮影期間や低予算を感じさせない、本当に質のいい作品ですね。
強いメッセージが、ラナの柔らかくピュアな質感にくるまれて
静かに心に染み入ってくるようでした。

彼女は、またヒースと共演したり、次の新作の撮影も始まったりと、
もう周囲が彼女をほっとかないような状態かもしれません。
Posted by 悠雅 at 2006年09月12日 00:23
現象さん
TBお返し下さり有難うございます♪
今の日本人は私も含めて総じてノンポリというか・・危機管理が出来てないですから仕方ないですよね。人間って自分が痛い思いをしないとなかなか目覚めないもの。
ミシェルはこの映画では本当にまだ少女の面影ですよね〜凄く良いママになりそうです。

悠雅さん
いいえ、こちらこそお返し有難うございます♪
おお、もう夫婦共演しているのですか?
知りませんでした^^
そうですね 彼女なら女優と良き母親と両立可能かもしれません・・
Posted by マダムS at 2006年09月12日 20:31
どうも〜。お久しぶりです。

この映画はヴェンダースの映画とばかり張り切って観に行ったんですが、「ヴェンダースの」というところにある種の期待があって、その期待とは違ったためにちょっとがっかりだったんです。

マダムSさんのようにもっと素直に見ればよかった・・・とレビューを読ませていただいてあらためて思いました。

ヴェンダースはその後の「アメリカ、家族のいる風景」がとてもよくて、これを見て初めて「ヨーロッパ映画を創るヴェンダース」という期待を捨てて「ヨーロッパ人としてアメリカ映画を創るヴェンダース」として見なきゃいけないんだと肝に銘じました。

そういう気持ちで「ランド・オブ・プレンティ」をもう一度見てみたいと思います。
Posted by nouilles-sautees at 2006年09月13日 17:21
 nouilles-sautees さん
ぼんそわ〜〜♪ お久しぶりです〜(嬉)
またどうぞヨロシクお願いしますね〜♪
nouilles-sautees さんはヴェンダース監督のファンでいらっしゃるのですね? 沢山ご覧になった今までの作品群と、これは違った感じなのでしょうか・・実は私は「パリテキ」を随分昔に観た時にどうもその良さが解らず(汗;) 苦手感が邪魔してそれ以来観ていなかったのです〜が、が、今回本編に感動し、更にDVDに収録されている監督の来日した折の質疑応答の様子を観て、すっかりそのお人柄に惚れてしまいました。「批判するにはその対象になるものに愛情がなくてはならない」様の発言をなさってまして、ヨーロッパ人として、「大好きな」アメリカに提言したいと。

なので、「アメリカ、家族のいる風景」を食わず嫌いをやめて見てみたいと思います。(笑)
Posted by マダムS at 2006年09月13日 21:31
ぼんー。
ロードムービーの代名詞ヴェンダースはもうもう大好きですー。BBMよりもむしろこちらのミシェル・ウィリアムズがよかったです。これを観た後に、数年ぶりにパリテキを見直してみましたがやっぱり素晴らしいと思いましたぁ。『ゆれる』の8ミリ映像を見るシーンはちょっとしらけてしまった私ですが、パリテキの思い出映像シーンはつい涙・・・。
Posted by かえる at 2006年09月14日 12:16
コメ&TBありがとう。
やはり、インタ−ネットのなかに、真実の断片は数多くあるようですね。最近では、少し、アメリカの論調も変化はあると思いますが。
Posted by kimion20002000 at 2006年09月14日 13:13
かえるさん
ぼなせーら♪
BBMより前ですよね?ミッシェルの撮影。 まだ少女のあどけなさが天使のごとく・・良かったですよねぇ〜 おお、「パリテキ」見直しされたんですね? 私も今ならまた違った思いで見れるかもしれないので、レンタルしてこようと思ってます、「アメリカ、家族〜」と一緒に(笑)

kimion20002000 さん
インターネットの力は 計り知れないですよね〜 
なんていうと○○エモンを思い出してしまいますが、 ラナは実に「真っ直ぐに育った宝物」 母親が兄に宛てた手紙にも泣けましたね。
Posted by マダムS at 2006年09月14日 20:33
ぼんじゅー、マダム!
これですね、お勧めのヴェンダース!
私も彼のロードムービーが大好きで(やはり特に「パリ、テキサス」)、一時よく作品を観ていたのですよ。でも最近はちょっと距離を置いていました。
しかしこのたびマダムの感動に触れまして、再び彼の映画を観てみようかと思った豆酢でした(ぺこり)。
Posted by 豆酢 at 2006年09月15日 11:31
 豆酢さん
そうですそうです〜♪
ははは、無理強いしてます!?(笑)
「パリテキ」は やはりお好きでしたか!? う〜ん、皆さん絶賛ですね〜 昔、観た時の私の感性が鈍かったんだろうか・・と思い始めました(笑)
「アメリカ、家族〜」も皆さん絶賛ですしで、
このたび再び彼の映画を観てみようかと思っている私です(ぺこり)。
Posted by マダムS at 2006年09月15日 19:59
こんにちは、jamsession123goです。
ブログにコメント&TBありがとうございました。
TBのお返しが遅れてました。

あっという間の5年間。
5年前にテレビの前で凍り付いたのがつい先日のような気もします。
ユナイテッド93で、あのニュース映像を見て、また、あの時の気持ちを思い出しました。
アメリカにとって、ベトナムに次ぐ、トラウマになるかもしれない事件ですね。
Posted by jamsession123go at 2006年09月16日 08:45
はじめまして、マダムS様!shit_headといいます!大ファンのchocoさんのとこからたどり着きました。

これ、ほんと素晴らしい名編でしたねー!感動しました!なんといってもミシェル・ウィリアムズです。偏見や憎しみを持たない現代的なキリスト教徒を演じていて、彼女の溢れる優しさに包み込まれるような感覚を覚えました。演技が光ってましたねー。ベンダース作品は始めて見たんですが、これでファンになりました。
Posted by shit_head at 2006年09月16日 13:37
こんにちは。この映画では、ヴェンダース監督の舞台挨拶(質疑応答もありましたが)に臨場することができました。
上映中は、泣き虫の自分、ぼろぼろでした。後追いでヴェンダース監督の作品を観るようになりましたが、『パリ、テキサス』は、ベスト版がタイムリーに発売されたのでとても嬉しい!
『アメリカ、家族のいる風景』、良いです。お勧め!
Posted by あかん隊 at 2006年09月16日 15:50
jamsession123go さん
こんばんは!
いいえどう致しまして、お返事有難うございます。
「ユナイテッド93」ご覧になったのですね、私も同じ内容のドキュメンタリーを観ましたが、辛いものがありました。当事者のご家族にしてみたら「まだ」5年かもと思って。 そうですねトラウマになってますよね既に。

shit_head さん
コンバンワ! 初めましてようこそいらっしゃいました♪
名編でしたねー! 私も感動してしまって。。記事にしました。
ミシェルは本当に地もこういう人なのでは?と思えてしまってーー(涙)
shit_head さんもベンダース作品は始めてでしたか^^ これからお互いにはまりそうですよね〜どうぞよろしく♪

あかん隊 さん
おお!そうでしたか!!
まさにDVDの特典映像に入っていた舞台挨拶の現場にいらしたのですねっ!?
監督の真摯な姿に打たれましたです。
私も一人でTVの前で涙を流していました。
おお、ベスト版ですか!情報有難うございます。 
そちらを観てみますね、「アメリカ〜」も♪
Posted by マダムS at 2006年09月16日 22:18
マダム〜
私も「パリ・テキサス」は途中で止めちゃった
者です〜〜

それから、ヴェンダースと言う名前は、苦手なんですが、「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」のキューバ音楽に魅せられた、音楽ドキュメントは感激しました。

音楽にとっても造詣が深いみたいですね。
私も「ランド・オブ・プレンティ」の最後に流れる曲がとっても印象深いです。
Posted by キウイ at 2006年09月17日 22:58
 キウイさん
ひゃ〜「パリテキ」苦手仲間がいて嬉しいー♪ (笑)
でももう一回観なくてはね うふふ。
そういえば、そうそう!「ブエナビスタ」もありましたねぇ!!キューバ音楽とその演奏家たちのドキュメントには感動しましたよ〜忘れてました。
最後の曲、いいですよねぇ〜やっぱりサントラ買おうかしら・・
Posted by マダムS at 2006年09月18日 17:33
再出現、失礼します。
サントラ、いいですよ〜!>買っちゃえ、買っちゃえ!(爆)
全曲iPod に入れて持ち歩いてます。
Posted by あかん隊 at 2006年09月20日 19:28
あかん隊 さん
ひゃっ やっぱりいいですか!?
iPodがまず欲しいです(爆)
MDプレーヤーしか持ってないんですよぉ〜ひぃ・・
Posted by マダムS at 2006年09月20日 21:36
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