2007年04月06日

アフリカもの2題ー@『約束の旅路』

約束1.jpg原題Va, vis et deviensの意味「行け、生きよ、生まれ変われ」そのものの強き”母性”が素晴しい。

たとえどんな過酷な条件下に生まれ落ちたとしても・・
身近に人生の知恵を語れる賢さを持ち、尚且つ深い愛情を注いでくれる大人(実母とは限らない)に恵まれれば、優しく強い人間に育つという見本のようなお話でした。・・先日鑑賞した作品「パフューム」の主人公がつくづく哀れに思えてきますよねえもうやだ〜(悲しい顔)

『約束の旅路』 
(原題:Va, vis et deviens)2005年/フランス
監督・脚本:ラデュ・ミヘイレアニュ
出演:ヤエル・アベカシス/ロシュディ・ゼム/モシェ・アガザイ/モシェ・アベベ/シラク・M・サバハ
公式サイト
約束2.jpg<Story>**************************
1984年。大干ばつに見舞われるエチオピアから、大勢の人々が途中で家族を失いながらも命からがらスーダンの難民キャンプへと押し寄せていたが、その中のファラシャと呼ばれるエチオピア系ユダヤ人は、アメリカとイスラエルが指揮した「モーセ作戦」と呼ばれる空輸計画でイスラエルへ”帰還”した(史実)。 キリスト教徒である一人の母親は9歳の我が子を「ユダヤ人」と偽り、迎えのトラックへ乗り込むよう促す。 今生の別れを覚悟しつつ、子の将来を案じて、そしてせめて生き延びるために・・しかし、ユダヤ教徒にとっては地上の楽園と思われたイスラエルの地でも様々な偏見や差別などの辛い試練が待ち受けていた。
**********************************************
当時のエチオピアの干ばつについては、やせ細った子供の写真などが新聞やTVなどで報道され、随分気の毒に思って我が子が食事を残したりすると「〜の子ども達を見てご覧!」などと諭した記憶がありますし、
we.gifマイケル・ジャクソンやらライオネル・リッチーやらレイ・チャールズなどなどアメリカの当時のトップアーチスト達がチャリティーの為に集って歌った「ウィー・アー・ザ・ワールド」(最近DVD化されたらしい→紹介されているサイト様はコチラビデオクリップに懐かしい顔ぶれ!)のヒットなどが思い出されるのだけれど・・。

恥ずかしながらユダヤ人史にはまったく無知で、この「モーセ作戦」についても、”エチオピアのユダヤ人”の事もまったく知りませんで、パンフを買ってまたまたお勉強させて頂いたような状態でして、偉そうな事はまったく何一つ言えないのですけれども。

約束5.bmpそういった難しい話は別として、親の愛情の深さや肌の色や宗教の違いを超えての人類愛などについて考えさせてくれるような話ですし、我が家も含めて情けない親(大人)達にとっては改めて子育ての見本を見せて頂いた様な作品でした。 
<ここからネタバレ含みます>
約束3.jpg


育ての父母に慈しみ育てられながらも、故郷の生活や残してきた母を想わぬ日は無く、肌の色が黒いために同じユダヤ人にもイジメられ、本当はユダヤ人でもないので「肌の色は関係ない」と自分を慕ってくれる女の子にも真実を打ち明けられずに自分のアイデンティテイがわからなくなってしまう苦しみ・・学校の帰り道にそっと靴と靴下を脱ぎ、裸足で帰宅する時間だけが本当の自分に戻れる時だったのかもしれない。しかし、彼は運良く本当に素晴しい大人達に見守られて成長する。

元々利発だった少年は勉強も出来たので医学を学び「国境無き医師団」の一員として故国を訪問するわけだが、少しも変わらない劣悪な状況の難民キャンプで、ちょうど妻からの実子誕生の知らせを電話で聞きながら気の遠くなるほど多数の難民の中から実母を見つけ出すラスト・シーン・・靴を脱ぎ、裸足で母に駆け寄る主人公は、失った”自分”をようやく取り戻したという事だろう。 そして老いた母は自分のした事が間違っていなかったという喜びの絶叫をあげる! ドラマチックで感動的なラストだった。
posted by マダムS at 11:27| Comment(11) | TrackBack(9) | フランス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ぼんそわー。
復活、お待ちしておりました。
早速、2つも記事アップされるなんて素晴らしい!
エチオピアの母にしてみたら、とにかく息子には生きてほしいから、ユダヤ人のふりをさせて手放した。なのに、息子にしてみたら、生き延びられはしても、肌の色の差別や孤独が待ち受けていたんですよね。
それでも、そんな皮肉も何もかもをひょいと超える、生と愛情の輝きに感動するばかりでしたー。
あの頃は、ウィーアーザワールドにも感動したものです♪
ブラックブックとキブツつながりでもありました。
Posted by かえる at 2007年04月15日 01:17
復帰されたのですね。

この作品、わたくしが鑑賞のプレッシャーをかけてしまったでしょうか。

ところで、ハンカチで間に合いました?
Posted by MACHI at 2007年04月15日 15:54
こんばんは。
あーホント、子育ての見本です・・・。
養子がほしいなんて、それも思い切った決断だなと思いました。どの人物も懐が深くてただただ尊敬してしまいますけど、見えないところではシュロモに対して葛藤を抱えていたのですよね。そういう繊細な心が溢れていて、私にはもう苦しくて息苦しくてでも愛おしくて、泣いてばかりでした。
ウィーアーザワールド〜♪
よく聴いてましたよ・・・
Posted by シャーロット at 2007年04月15日 21:55
★かえるさん
ぼん〜♪ 早速にご訪問有難うございます!
いやいや・・書きたい物はまだゴマンとあるんですが(汗;)とりあえず二つ。
子を粉塵の谷に突き落とす虎のごとく・・あのお母さんは偉い!色んな困難が待ち受けていようとあのキャンプの外の世界に賭けたんでしょうね〜兄の死を自分のせいだと思っていたのも不憫でした。
そうなんですよね、最近続けてみた作品「ブラックブック」「約束の旅路」「ブラッドダイヤモンド」どこかで共通点を見つけたのも面白かったです。

★MACHIさん
は〜い!またこれからもどうぞよろしくお願いしますね(^^)
そうそう!MACHIさんのプレッシャーが重くて・・なんちって冗談ですよー 久々に岩波ホール&天ぷらいもやのセットでしたん♪
Posted by マダムS at 2007年04月15日 22:06
★シャーロットさん
おっと、入れ違いでした(笑)
あの養父母には本当に頭が下がりますよね〜 葛藤があって当たり前なんだけど、それでまた実子が良い子だこと!!ひねくれたりしないで優しいんだもの。泣けました。。
「ウィーアーザワールド」は輸入版CD持ってまーす♪ いまは映像付きのDVDも欲しいかも!だって懐かしい顔だらけなんですもん(みんな若い!) 
Posted by マダムS at 2007年04月15日 22:52
マダム、こんにちは。
私もやっとレビューをアップしだしたので(また途中まで書いて続きになってしまったけれど)読みにうかがいました。
本当に子育てのお手本のような大人たちにかこまれて、彼はラッキーでした。
なんかずっと目をウルウルさせながら見てしまいました〜
Posted by jester at 2007年04月18日 08:08
★jesterさん
こんにちは〜
おっ また続き物ですか?楽しみですぅ♪
伺いますね(^^)
そうなんですよね、彼はとてもラッキーだと言えると思います。あんないい大人ばかりではないと思うし・・
彼女までもがいい人なんですもの・・ウルウル(TT)
Posted by マダムS at 2007年04月18日 20:47
こちらにもお邪魔します。コメント残さずにはいられないです。マダムさんの記事を読みながら、また思い出して色々と込み上げてまいりましたです。

素晴らしい作品でしたね。

鑑賞直後よりも、ブログで記事にした後よりも、暫く経ってからの方が感動が強くなっていく作品でした。もう書きたいことがあり過ぎます。ちょっと大袈裟ですけど、魂を漂白してもらった作品というか。ものの考え方を大きく変えるキッカケになった感じです。

という訳で。『ブラッド・ダイヤモンド』は楽しめたのですが。本作を見る前に見ていたら、もっと違った楽しみ方をしていたと思うんです。それくらい、私に影響を与えた作品でした。あっ『ツォツィ』も。
Posted by 隣の評論家 at 2007年04月19日 21:56
★隣の評論家さん
いや〜こちらにも有難うございます♪
本当に、この作品、日が経つにつれて色々込み上げてきますね!!まったくです。
>魂を漂白
って素敵な表現ですね!! ちょうどそんな感じです。
おお「ツォツィ」もご覧になったのですね〜! 観なければと思ってはいるんですよー
最近、映画界はアフリカブームですねぇ。
Posted by マダムS at 2007年04月20日 23:00
こんにちわ!
映画の背景の知識がなくて、ちょっと
戸惑う部分もありましたが、最近の
アフリカものの中では、「心のキレイな人」
がたくさん出てくる映画でそこが
気に入りました。
あのイスラエルの養母は典型でしたけど、
結婚することになる彼女も現代っ子なのに
最後までシュロモに惹かれていたって
サラって描かれてますけどいい話ですよね。
Posted by kazupon at 2007年05月07日 18:47
★kazuponさん
こんにちは〜♪ トラコメ有難う〜♪
本当に、「心のキレイな人」ばかりでした。 悪人と対比させたりするとアザトク見えるものですけど、そんな事も無く素直に感動出来る作品でしたよね。
彼女の想いがまたいいですよね〜
良くガマンしたっ!(^^)b いい話です。
Posted by マダムS at 2007年05月07日 20:24
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