2007年05月01日

『気ままに生きて』〜イタリア映画祭2007?

(原題:Anche libero va bene)2006年
気ままに生きて.jpgキム・ロッシ・スチュアートが初監督し、主演も務めた作品です。

大人になり切れない両親の元で、不安を抱えて暮す姉弟の話ですが、初めてとは思えないキム監督の演出の冴えが素晴しく、予想をはるかに上回る上質のホーム・ドラマでした。 

なんといっても、子役が素晴しい!!
両親の喧嘩に傷つきつつも、なんとか支えようと大人びたり、子供らしく甘えたり、反抗したりと繊細な表情の変化を見せる子役の男の子(アレッサンドロ・モラーチェの演技は、あのヴィットリオ・デ・シーカ の名作『自転車泥棒』の子役に匹敵する逸材だと思いましたexclamation その演技を引き出した監督の才能も評価したい。

気ままに生きて2.jpg<Story>*****子供に愛情はあるが度々蒸発する母親と、感情のコントロールが上手く出来ずに人との衝突が多く、才能がありながら仕事が貰えないフリーの映画カメラマンの父親。そんな両親の元で常に不安を抱えつつ暮す姉弟、11歳の弟トミーは父親の勧めで習っている水泳よりも本当はサッカーがやりたいと思っている。ある日、またふらりと帰ってきた母親はしばし子供と濃密な時間を共にし、受け入れた夫の良き妻をこなしてはみたが。。****************************************
母親役はバルボラ・ボブローヴァ「聖なる心」「見つめる女」

気ままに生きて3.jpgなんだか陰鬱で重たい作品なのかな?との鑑賞前の心配は無用だった。 時折絶妙に挿入されるコミカルなタッチの音楽(凄く好みだった)も手伝って、いつしか彼らの日常をハラハラしつつ切なくそっと見つめている感じで決して暗くはならない。 学校での子ども達の様子がとても自然だし、思春期入り口のこの姉弟の家庭内の行動は、本当に”やりそう”な事ばかり。特に姉の情緒不安定な行動などは、「良くこういった状況に置かれた子供を観察してるなあ」と感心。というか監督の自伝的要素が多分にあるようだから・・。

気ままに生きて7.jpg必死に”クレイマー・クレイマー”しているのに、帰ってはまた出てってしまう身勝手な妻(恋多き女らしい)にほとほと呆れ、キレまくる父親の気持ちもわからなくはなく、その度被害を蒙る子ども達だが、言葉で説明はいらないほど、弟トミーの表情が良くて泣けてくる。 家の屋根の上を秘密基地のようにし、誰も知らない場所でひと時の安住を得る。下を見たらめまいがしそうな高い所だが、そこを行き来する足元があぶなっかしい様子がちょうど子供の不安な気持ちを表しているようで上手い。

原題の「Anche libero va bene」は そのまま訳すと”リベロでも良い”という意味。トミーがラストに父親に言う台詞だ。リベロとはサッカーの後方で自由に動けるポジションの事。 華やかなスポットライトを浴びる役割ではないが、地味でもいつでも自由に自分を主張出来るのが良いという意味なのではないかと思う。

成長する子ども達、そして良い父親であろうと精一杯努力しているパパと、しょーもないママだって子供は愛している。。
子ども達も十分わかっているのだ。だからこそ通い合う気持ち・・温かい目線で描かれた家族の物語である。ラストは泣けて仕方なかった。 
posted by マダムS at 19:23| Comment(11) | TrackBack(4) | イタリア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
出演もし、初の監督もされたキムさまの演出の腕がさえていた作品でしたかぁ〜。
見たかったですが、DVDは発売されているけど、高価なのですねぇ〜!レンタルはなし・・・。
明日(3日)に朝日ホールで上映されるけど、チケット購入していないし、どうしようかなぁ〜!
イタリア映画って、子役を使うのが上手いですよねっ。しかも男の子。
私は「自転車泥棒」は前から見たいと思って、500円のDVDを購入してあるのにまだ未見。この際見て見ましょう〜。
他にも「鉄道員」や「ニュー・シネマ・パラダイス」の男の子が素晴らしいかったですよねぇ〜!
Posted by 紫の上 at 2007年05月02日 15:47
作品のレビュー丁寧です。さすが、マダムSさん。
マダムSさんのように作品を深く理解した方が、Q&Aの質問をされたらキム様も不機嫌にならなかったでしょうに。
「質問がまずかった」との声が会場ロビーで聞えました。
3問目に手を上げようとしたけど帰ってしまいましたぁ(泣)
フランス映画祭でもそんな場面あったよなぁ

TBありがとうございました。
Posted by ひゅーのすけ at 2007年05月02日 20:34
★紫の上さん
そうなんですよね、明日が最後の鑑賞チャンスでしたが・・今チェックしたら、5日の「カイマーノ」以外はすべて自由席券も売り切れになってます!!!
残念ー 見ていただきたかったですが(TT)
そうそう! イタリア映画は子役が上手いのが伝統なんでしょか・・
ううう・・せめて「自転車泥棒」をご覧になって、こんな感じかな?と想像してみて下さいませ(半泣)

★ひゅーのすけ さん
実は私が今一番残念に思っていることが、それなんです!!
上映後のQ&Aの時に余程「素晴しい作品を有難う!感動しました!」って言おうと思って手を挙げかけたんですが、意気地なしなんで結局何も言えず( ̄ロ ̄lll) 
今となってはもう遅いんですが、ちゃんと言って差し上げたかったです〜〜さぞかしガッカリされたろうな〜と思って・・悔しいのと申し訳ないのと・・涙。
Posted by マダムS at 2007年05月03日 00:21
昨夜は、「気ままに生きて」のチケット状況をチェックしていただいて、有り難うございました。
で、今日出かけなくて良かったです。
その代わりにお勧めの「自転車泥棒」を見ました。
う〜ん、子役の男の子の自然の演技が素晴らしかったです!
ラストは思わず涙が〜〜。
解説に書いてあったけど、お父さん役の人もこの男の子も素人さんだったそうですねぇ〜。恐るべき!
マダムSさんに背中を押してもらって、念願の「自転車泥棒」を見れて良かったです〜♪
Posted by 紫の上 at 2007年05月03日 22:55
★紫の上さん
お勧めして置いて気になったものですから、調べて良かったですぅ〜。お互い都心までは遠いですものね、無駄足は踏みたくないと思いまして・・(^^)v
で、「自転車泥棒」ご覧になりましたか!
泣けますでしょう〜?あのラスト!!
2人の表情がたまらないですよね(TT)素人さんでしたかー。戦後映画を作るお金もスタジオも無くて、ロケ中心で素人を使いながら作った作品群が”ネオリアリズム”と言われたと何処かに書いてありました。もちろん色んなメッセージを込められてのことでしょうけれども。
キムのこの作品もかなり高い評価受けているようです。
Posted by マダムS at 2007年05月03日 23:46
マダムSさん、たびたびレス、有り難うございます!
他のレスも読ませて頂きました。
いつも、コメントを書き込むとどんなレスが返ってくるのがとても楽しみです〜♪
それに、今回は本当にいろいろとお世話になってしまって・・・。
やはり、持つべきものは、友or仲間かしら・・と改めて思った次第です(^-^)

で、このキムの作品の原題は「リベロでもよい」ということなのですか。
さすが、サッカーの盛んなイタリアらしい題名ですよねぇ〜!
>地味でもいつでも自由に自分を主張出来るのが良いという意味なのではないかと思う。
ふむ、私の理想とするところです〜♪
いつか、近い将来に、テレビ放映しないかしら?
気長に、忍耐強く待つといたします!
Posted by 紫の上 at 2007年05月04日 12:35
★紫の上さん
いえいえ、そんな!別に大したことしてるワケじゃないですよー! 自分が大好きな趣味の事で色々動くのは全然苦じゃないですよ、ほんとに。 こちらこそ末永くお付き合いよろしくお願いしますね(^^)
そうですね〜TV放映(BSかWOWOW)してくれると良いですね〜。
Posted by マダムS at 2007年05月04日 17:44
すみません、いっぱいコメント書きまくってます。なんだかうれしくて。
フランス映画祭より数倍いいみたいですね、イタリア映画祭。

キム様、初監督でこれだけのレベルのものが作れるんですから、これからますます楽しみです♪

しかしやはりあのお姿は見たいのでぜひ監督・主演でお願いしたいですね。
Posted by nouilles-sautees at 2007年05月05日 06:38
★nouilles-sautees さん
たくさんコメント下さって、こちらこそ恐縮です!!嬉しいー♪
イタリア映画祭はなかなかの盛況で驚かされます。映画好き+イタリア好きもいるかも。
作品の選定もきっといいのだと思います。
キム作品、次回作にまたまた期待大ですね!
今回の主演は最初決まっていた俳優が、なんだったかの理由で出来なくなり、急遽キムが演じる事になったとかですが、両方出来ちゃうのがスゴイですよねぇ。。(*^^*)

Posted by マダムS at 2007年05月05日 09:54
あとでTBもいたします。
それにしてもみんなが(私だけが?)
気にしていたあの箇所を確認していただいてありがとうございます。
ストーリーに関係ないけど、ファンにとってはとても大事な”あの”場面。
わざわざリージョンフリーのデッキを購入してチェックしてくださるとは。

すごいっす!


いやー、これからマダムSさまのことを
「先生」と呼ばせていただいてよろしいでしょうか(笑)

先生、ついていきます!
Posted by マヤ at 2007年05月21日 14:55
★マヤさん
ぐふ。。”その”箇所だけの為じゃあないですよぉ〜?(っと言い訳してみる)
映画そのものが良かったからで。。(^^;)
 >「先生」と呼ばせて
またまたまたまたーーーご冗談がきつうございますわっ!!! 
こちらこそ以前からマヤ様を「師匠」と勝手に呼ばせて頂いておりますっ!
師匠、ついていきます!(笑)
Posted by マダムS at 2007年05月21日 19:25
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《気ままに生きて》
Excerpt: 《気ままに生きて》(キム・ロッシ・ステュアート監督)を見た(イタリア映画祭20
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