2007年06月25日

『ハリウッドランド』

(原題:HOLLYWOODLAND) 2006年アメリカ
hollywoodland1.jpg
弾よりも速く、力は機関車よりも強く・・
高いビルもひとっ飛び!
空を見ろ、鳥だ、飛行機だ・・・
あっ スーパーマンだっ!!

そんなオープニングで始まるその番組は、アメリカのみならず、日本の子ども達をも熱狂させ、憧れのスーパー・ヒーローが白黒のTVの中に確かに存在した時代があった。米国製TVドラマが日本のチャンネルを席捲していた昭和30年代のこと・・。

 uniform.jpgそんな”どんな事があっても死なない”と思われていたヒーローを演じた俳優の不慮の死は、遠い異国の日本ではニュースになったかどうか良く覚えてないのだけれど、彼を崇拝していたアメリカの子ども達にとってはかなりのショックだっただろう事は十分想像出来る。

今作でその俳優を演じた俳優=ベン・アフレックが、ヴェネチア映画祭でなんと主演男優賞を受賞して、このブログでも皆さんと話題にしたのはもう一年近く前でした! その時の記事は コチラ と コチラ

hollywoodland13.jpg<Story>******1959年6月16日、スーパーマン役を演じたことで知られる俳優ジョージ・リーヴス(ベン・アフレック)が自宅で死亡した。 警察は自殺と断定したが、疑問を感じた彼の母親は私立探偵ルイス・シモ(エイドリアン・ブロディ)を雇う。 シモは事件の真相を探るうちに、映画会社の重役夫人トニー・マニックス(ダイアン・レイン)とリーヴスの情熱的な不倫関係や、彼の持つ様々なコンプレックスなどを知る事になる。***************

hollywoodland12.jpg 映画は、事件の真相を追う私立探偵が主役の現在のパートと、亡くなったジョージが主役の過去のパートとの二重構造になっている。
当初、マスコミ報道されたように”単純な事件”と軽く考えていた探偵シモは、”ヒーローの死”へのショックがあまりにも大きくなかなか立ち直れない一人息子(ヤクザな探偵稼業に愛想を付かされ別れた妻との間の息子)が、更に落ちこぼれ探偵である自分を父親として尊敬も出来ないでいる事が不憫に思えたりで、親子関係の修復&功名心も手伝って、真相を究明する事に次第にのめり込んでいく辺りが面白い。

hollywoodland9.jpg あまりにも一つのキャラクターで有名になり過ぎ、以後そのイメージの払拭に悩む俳優は多い。 また、当時台頭してきたTVの主役でも、”映画スター”よりは数段格下の存在であった事実を知った上で鑑賞すると、より彼の失望と苦悩が浮かび上がってくる。
印象的な1シーンがある・・
恋人トニの助力を得て映画『地上より永遠に』(B・ランカスター、モンゴメリー・クリフト主演)への出演を果たし、いよいよ関係者を招いての完成披露試写会で・・ジョージが主役と絡むシーンになると、シリアスな戦争ものでの真面目なやり取りであるにも関わらず、場内からは忍び笑いが漏れ「ロイスは何処だ?」「スーパーマン!」と野次が飛ぶ。 プロデューサーは即「カットだ!」のジェスチャー。 落ち込むジョージ。今後の映画俳優としての道を閉ざされた瞬間だ。

reeves&toni.jpg そして、ジョージと両親との確執や出自のことまで・・色々な秘密が明らかになるにつれ、シモはジョージと自分との共通点を発見することになる・・。ジョージのフクザツな事情や思いを受け止めきれず、アルコールに逃げそうになるシモだが・・。

 事件の真相は結局現在でも闇に包まれたままなわけですが、所謂ハリウッドスキャンダルの延長上の”殺人”の疑いも濃厚であるとしつつ、俳優としての苦悩の結末か? 映画もはっきりと決着はつけていません。事件の起こったジョージの自宅の窓を何度も仰ぎ見るシモの表情は、次第に変化し、栄光を求めた一人の男の素顔の一端を少しは理解出来た満足感と、今後自分の行く道が見えてきた事の安堵感に満たされていくのが印象的。

 話の運び方が上手いですね、脚本が上手。 
アレン監督はTVドラマ出身だそうですが、無駄のない演出はお見事。 
プライベートで苦労が続いたベン君の演技も真にせまってましたし(苦笑)、他のオスカー俳優たちの演技の上手さも手伝って、サスペンスフルかつ上質な人間ドラマに仕上がってました。




posted by マダムS at 08:27| Comment(10) | TrackBack(9) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マダム〜〜〜♪
居ても立っても居られなくってすっ飛んで読みに来ましたですヨ。
何処かでスッキリしない云々・・・というのを読んだので「どうしようかな?」と思っていたのですが、、
いや、決着は付かなくっても、この映画は十分観る価値ありみたいですね!
一人の俳優の苦悩や、それに関わった人々の想いなどが観て取れそうです。
エヘ、自分の好きな映画かもー
ベンさんもね、頑張ってますね!!
彼、意外とスーパーマンの姿が似合ってますね!?
(↑のフォトを観て思ったです♪)
Posted by Puff at 2007年06月27日 01:30
★Puffさん
うわぁ〜 わざわざどうもです〜♪
なんだかブログ仲間でもご覧になっている方少なくって・・(^^;) どなたの感想も見れてない状態なんですけど、評判はいま一つなんですかしら? 未解決事件と言ってもいいような事件なので、すっきりしないのは仕方ないと思いまふ。 主人公はどちらかというと”探偵”の方だと思うのね。 彼の生長物語と言ってもいいくらい・・。私はとても良かったと思うんだけどなぁ〜!
ベンは役作りで相当体重増やし、本人の話し方とか研究したそうですよ(^^)b
Posted by マダムS at 2007年06月27日 20:24
これ超単館なせいもあるけれど、まったく話題になっていないのがなんとも残念です。スッキリしないのが一因だと思うけれど、これはそういう映画ですから。
普通なら女性同士の嫉妬だけに容疑がかかるものでしょうが、この事件の場合スーパーマンの苦悩がなんともリアル。
それから当時のハリウッドの世界も垣間見れて楽しかったですよね〜
あ・そうか。ヴェネツィアで主演男優賞を受賞してたのですね。

Posted by Cartouche at 2007年06月29日 10:03
★Cartouche さん
そうなんですよね。未解決なんですからすっきりしなくて当たり前なんですが・・(^^;) 本人とその周囲の人間模様・・特にハリウッドの内幕ものとしても面白いと思うんですが・・。
年上女性の執着ぶりとその夫のフクザツな性格、権力のなせるわざとか・・色々面白い点も見せてもらいました。
ベン君の演技もなかなかでしたよねぇ・・
Posted by マダムS at 2007年06月30日 08:08
マダムsさんとは同世代、あの当時アメリカのTVドラマは日本では大人気で、そのなかでも「スーパーマン」は、子供だった僕たちのヒーローで冒頭の「弾よりも速く、力は機関車よりも強く・・」の名ナレーションはいまでも忘れられません。
そのスーパーマンが自殺したということは、その当時新聞を読んで知りました。その頃は「スーパーマン」の放映も終了してたいんですが、すごいショックだったことを覚えています。自殺した彼は、スーパーマンのイメージが強く他の作品に起用されないことが悩みだったという記憶があります。
ちなみにジョージ・リーヴスは「風と共に去りぬ」の冒頭で、スカーレット・オハラの屋敷のバルコニーで彼女を囲んで話をしている若者が若き日の彼だったそうですね。
こちらでは「ハリウッド・ランド」は今月14日からの公開で、ぜひ観たいと思っています。
Posted by 伸坊 at 2007年07月07日 23:04
★伸坊 さん
やはり、伸坊さんもご覧になっていた世代ですよね! 男の子はみんな観ていたかも?風呂敷を背中に結んで真似っこ遊びされていたのでは?(^^)b
日本でのTV放送をちょっとでも観ていた世代の人間ですと、事件の真相やそれに至ったジョージの事情を知りたくなるのが人情だと思います。
「風と共に去りぬ」に出ていたという話は私もこの映画で初めて知り、確認しようと思っていてそのままで・・。
是非ご覧になって感想をお聞かせ下さいませね。
Posted by マダムS at 2007年07月08日 08:19
マダム、梅雨時まったりな私で、鑑賞してから早10日が過ぎようとしていますが、まだ感想アップできず・・・
んでも、寅米させてもらっちゃいます!(笑;)

いや、面白かったです、というか非常に興味深い作品でしたね。
私も生リーブスのスーパーマンが記憶にある奴なんで、本当に感慨深い内容でした。
ハリウッドの光と影、それを追うダメな父親である探偵のエイドリアン・ブロディの設定もなかなか・・・。
ベンちゃんのスーパーマン姿も、やはり似合っていて・・・ラストの寂しげな横顔にジンとしました。
私も「風と共に去りぬ」に、彼が出ていたとは初めて知りましたが・・・
昨日『地上より永遠に』を、レンタルDVDで鑑賞しました。
海辺のシーンは有名だけど、初見で・・・(^^;やはりなかなかの作品。
リーブスの、あのシーンもチェックしました。
けれど・・・ノンクレジットなんですよね。(TT)
その後の映画俳優としての足がかり程度な役柄ではありましたが・・・なかなか切ないものがありますよね。
感想アップしましたら・・・(いつ? 爆)また覗きに来てくださいませ。^^;

Posted by ラクサナ at 2007年07月08日 11:44
★ラクサナさん
うひゃ、「地上より〜」ご覧になりましたか! 私は随分前に一回観たっきりですが・・。 あらまー!今作の中のシーンから、リーヴスの出演場面はカットされてしまったとばかり思っていましたが、ちゃんと残っていたんですね!? 気になりつつ確認まだしていなかったので、お知らせ有難うございます!!!(^^;)
「風共」の方も確認せねばと思っております。
ベンちゃん!熱演でしたよねぇ・・最後のカメラ目線にはこちらもちょっとたじろぐほど鬼気迫ってましたね。 ダイアン・レインはちとオーバー・アクトのような気もしましたが、最後のすっかり老けた感じはリアルだったのかも。
なんだか湿度過剰なこの時期・・パソコン前で長時間いられないですよねー!無理なさらず、ゆっくりマイペースで更新なさって下さいませね(^^)b 書きあがりましたらまたお邪魔させて頂きます♪
Posted by マダムS at 2007年07月08日 20:59
マダムSさん、観てきましたよ。^^
ジョージ・リーヴスが自殺ではなくて殺されたのではないかという推理に興味を持ちました。あの当時MGMと言えばライオンの雄叫びで有名なハリウッドの代表的な映画会社で、その重役の妻をダイアン・レインが演じ好演していましたね。それにベン・アフレックが体重を増加させて本人のイメージに近づけて力演していて、新境地を開いたように思います。
映画に出てくる「地上より永遠に」は、「ゴッド・ファーザー」で映画監督のベットの上に馬の生首を置いた凄惨なシーンが出てきますが、あれがフランク・シナトラが「地上より永遠に」の出演を熱望してマフィアが動いたとされています。そう、あの映画監督がフレッド・ジンネマンなんです。彼は「真昼の決闘」「尼僧物語」「わが命つきるとも」「ジャッカルの日」「ジュリア」などの名作を演出しています。^^
Posted by 伸坊 at 2007年07月19日 22:47
★伸坊 さん
うわぁ〜 お約束どおり感想を持って来て下さって有難うございます〜♪
なかなか興味深い内容でしたでしょう?
他殺説は限りなく黒に近いグレーですよね!
当時のハリウッドで、あの重役夫人の執着ぶりなら十分有り得るような話だと思いました。
ベン・アフレックも頑張って新境地開いてましたよねー!
「ゴッド・ファーザー」で描かれた”監督”にはモデルがいるという話は何処かで聞いた事があります。フランク・シナトラの件も。
フレッド・ジンネマンは反骨精神に溢れた監督だったのですよねぇ〜
そうか〜今作の内容にも関係していたんですね〜〜 あのMGMの重役も限りなくマフィアに近かったですものね(怖)

Posted by マダムS at 2007年07月20日 08:03
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