2007年09月10日

『ミルコのひかり』

(原題:Rosso come il cielo)2005年イタリア
今年のイタリア映画祭で見そびれてしまい、一番残念に思っていたこの作品、ようやく一般公開されたので鑑賞しました。
ミルコ.jpg
イタリア映画界で活躍する盲目の音響技師=ミルコ・メンカッチ(「輝ける青春」、本作など)の子供時代を描いた実話に基づく感動作カチンコ

<STORY>****1970年夏、トスカーナ地方に暮す映画好きの少年ミルコは、銃の暴発事故で視力を失い、故郷を離れ全寮制の盲学校に入学するが・・
ミルコ3.jpg点字の勉強に身が入らないミルコが熱中したのは、寮の戸棚で発見したテープレコーダーを駆使し、自然の音や物語の効果音を録音、編集する事だった・・(映画祭パンフより抜粋加筆)******

 冒頭のシーンはミルコの故郷=トスカーナ地方。 陽光溢れる美しい緑の丘陵地帯で、目隠しをし”鬼さんこちら”遊びで無邪気に戯れる子供たちの様子が色彩豊かに描かれるが、後に少年を襲う残酷な運命を思うと最初から胸が締め付けられてしまった。 こんな美しい風景も見られなくなってしまうのかと。

 しかし、映画は過剰な催涙演出はせず、淡々とミルコが自分の才能に気づき、それを応援し援助してくれる神父、思いを寄せてくれる少女との出会いを描いていく。 少年が”音”を集める事に興味を持ったことで、盲学校のクラスメートを巻き込んでの物語劇製作大作戦へと発展して行く様子はとても楽しい。

 本作ももちろん、彼が脚本段階から参加して音響効果を担当しているわけだけれども、さすが!実に繊細な”音”が拾ってあるので、鑑賞なさる方は是非”耳”を澄まして様々な音を聴きわけて頂きたいです。 子供たちが劇の為に作り出す様々な効果音も楽しいです。

 規則に縛られた教育方針に一時は退学の危機に陥るミルコだが、70年代のイタリアが色んな面で変革期だった事は、最近観た数本の映画で学んだばかり。 体制に反対する学生運動やらの様子も本作に上手く取り込まれており、ミルコ本人のセルフストーリーに留まらず、旧態依然とした学校制度や医療面の改革が行われつつあった背景などもチラリと触れて興味深い。 

 親と離れて全寮制学校へ入る、まして障害を持ってしまった子供だというだけで、可哀相という気持ちが先にたってしまい、親は身を切られる思いに陥る様子には作品の中の両親に共感して思わず涙してしまうが、実話であり往年の名作映画『ヘレン・ケラー物語』など思い出しつつ、がんばれよと送りだす・・。

 映画は後にどういう経過を辿ってサウンド・デザイナーとして成功するのかまでは描かず、あえて子供時代だけを切り取っている。 子供だけが持っている煌きを描く事を大事にしたかったそうだが、映画の観客としては少し不満も残った。やっぱり大人になって煌いてるミルコも観たかったなと。。 
posted by マダムS at 08:32| Comment(11) | TrackBack(9) | イタリア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
映画祭で見ていたら、サイン会の時に、是非監督によかったとお礼を言いたかったですね。
ラストは、涙ぽろぽろでしたわ。
鑑賞券が当たったので、もう一度見る予定です。
Posted by MACHI at 2007年09月11日 15:24
私もきょう見ました。
自分のせいで盲目になってしまった絶望感、孤独感
そして”音”と出会って世界がぱあ〜っと開けたときの感じが最高でした。
TBさせてくださいね。
Posted by Cartouche at 2007年09月12日 00:21
★MACHIさん
うひゃ・・ヴェネチアに気を取られて、なかなか感想が書けないわたし。。
ヴォルトーネ監督はサインする時にしっかり顔見て下さった一人だったと記憶してます(中にはそっぽむいてサインする監督もいた)。 いい映画撮りましたよねほんと。

★Cartouche さん
ご覧になりましたか! 私も感想書き上げたら急いでおじゃましますね!!(^^;)
私も子供時代にあのオープンリールのテープ・レコーダーで遊んだ世代なので、妙に懐かしかったです。 目が見えないことで研ぎ澄まされる感覚が、体感出来る様な作品でしたね。
Posted by マダムS at 2007年09月12日 15:52
こんにちは。
直接的には音に敏感になったのって、目が見えなくなってしまったからということにもなるのでしょうけど、元々映画が好きだったという事で音や音響効果へ興味が向くのにも繋がっているんでしょうね。
そうそう、私的にはご本人のミルコ・メンカッチさんの映像が最後に少しでもあったら嬉しかったかも。
子供の頃はよくカセットテープのコードは引っ張り出して遊んでいましたです;よく叱られました。笑
Posted by シャーロット at 2007年09月15日 17:00
★シャーロットさん
こんばんはん♪ 記事を書くのに時間が掛かったわりには大したこと書けてなく・・恥ずかしいですが(笑)
うんうん、そうだと思います。 一つの感覚を失った分、他の感覚が研ぎ澄まされるのでしょうね。。 オープンリールのテープレコーダーで音を作って遊んだ思い出があるので、ミルコ氏は恐らく同じくらいの年代かと? シャーロットさんはもう”カセット”の時代だったんですねー!(笑;)
最後にね、ご本人さまの映像もちょこっとでいいから見せて欲しかったですよねぇ。
Posted by マダムS at 2007年09月15日 20:47
ドモドモ−♪

この映画、イタリア映画祭の上映作品だったのですねー
マダムは「輝ける青春」を劇場でご覧になっているので、さらにさらに感慨深いものがあったのではないでしょうか。
・・・自分はあの長さで断念、意気地なし。ううっ
>映画は過剰な催涙演出はせず
これがとっても良かったですよねー
と言っても終盤になるとじわーっと涙がこぼれちゃいましたけど。エヘヘ
ミルコの素晴しい才能、そしてそれを見つけ伸ばしてくれた神父。
人と人との出会いは大切で素敵だなーって改めて思いましたです。
Posted by Puff at 2007年09月17日 17:20
★Puffさん
こんにちは〜 お待ちしておりましたー!
そうなんですよね、あの「輝ける青春」も手がけていらっしゃる方だったんですねー ハンデをものともせず、活躍していらっしゃる方には本当に頭が下がります。
私の泣きのポイントは幾つかあるんですけど、子供たちがこっそり映画を観に行って・・見えないはずなんだけれど、耳で聞いて劇場の雰囲気を感じ取って!実に楽しそうに大声あげて映画を楽しむシーンで、じわっと。
周りの人に恵まれるというのも、もしかしたら才能の一つなのかもしれませんねー。
Posted by マダムS at 2007年09月17日 19:34
ぼなせーら。お帰りなさいませー。
旅行記も楽しみにしていますー。

マダムはこれ、川崎でご覧になりました?
私は川崎行きを目論みつつ、アミューズ鑑賞となりました。
でも、思ったよりも集中して見られました。
シネコンなら、有楽町朝日ほーるより全然よいだろうし。

カトリックの国だと福祉は教会が絡んでいるっていうのが、日本人的には興味深かったですー。

私はこの物語はこれで完結してよかったと思ったんですが、それとは別に確かに、サウンドデザイナーの仕事ぶりも見てみたかったですねー。
Posted by かえる at 2007年09月23日 11:25
★かえるさん
ハーイ ただいまです♪
旅行記はボツボツと・・書いていきますね(^^)
かえるさんはアミューズでしたか!前に座高の高い人座られずに済んだようですね?(笑)私は川崎チネですよん〜 最近はなんとか多摩川越えせずに単館系が見れるようになってきて嬉しいですわん♪
そう言われれば福祉関係は教会なんですね・・なるほどー。
そうなんですよ。。ちょぴっとサウンド・デザイナーとして輝いているミルコにも会いたかったのでした。 

Posted by マダムS at 2007年09月23日 18:14
こんにちわ。
私も観て来ましたので、お邪魔いたしますー。
観る前から、かなり評判が良かったのですが。実際に観てみて、押しつけがましくない感動が広がって心地良かったです。
みんなで音を作るシーンも感動的でしたが、私はフェリーチェくんがミルコに色について聞くシーンが大好きです。生まれつき目が見えないフェリーチャくんが、ミルコの言葉から想像してみる前向きさに感動しました。
Posted by となひょう at 2007年09月30日 13:43
★となひょうさん
こんにちは〜 いらっしゃいませ♪
 >押しつけがましくない
まったくその通りでしたね!! いかにも同情を買う様な演出でなくって好感が持てましたよね〜。
日本で同じようなテーマでドラマを作ったらもっとどんよりウェットな感じだったと思われ。
そうそう!実際目が見えないフェリーチャ君の天真爛漫さには胸を打たれますよね!色を聞くシーンには私もとても感動しました。
 
Posted by マダムS at 2007年09月30日 22:04
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