2008年05月04日

有楽町でイタリア映画祭2008−@ 『対角に土星』『日々と雲行き』

GW恒例のイタリア映画祭は今年8回目。私は3回目の参加。
対角に土星.jpg  日々の雲行き2.jpg
『日々と雲行き』
2008年のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(イタリアのアカデミー賞)で作品賞含め15部門にノミネート。母役マルゲリータ・ブイが最優秀主演女優賞、娘役アルバ・ロルヴァケルが最優秀助演女優賞受賞作品
『対角に土星』も2007年同賞に数部門ノミネート。登場人物の一人ロベルタ役のアンブラ・アンジョリーニが最優秀助演女優賞受賞した群像劇。

どちらも心に残る素晴しい作品でした。

『対角に土星(Saturno contro)』
対角3.jpg
2007年イタリア/フランス/トルコ
監督:フェルザン・オズペテク
出演:ステファノ・アッコルシ、マルゲリータ・ブイ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ 他

.ある夕べ、作家のダヴィデの家では40代前後の親しい友人グループが集まり楽しく食卓を囲んでいる。
ゲイのカップル、倦怠期の夫婦、浮気を言い出せない夫などなど・・。
そしてその席で起きた”予期せぬ悲しい出来事”を契機に、彼らが抱える様々な問題が噴出する。 
 そもそも、親子、夫婦、友人、恋人同士などの関係はその関係が深ければ深いほどある日突然その絆が断ち切られる恐怖をも背負っていて、その瞬間が来た時に嫌でも人間は一人ひとり”孤独”な存在なんだと思い知らされるワケだけれども、それだからこそ尚更の事、誰もが人の温もりを求め”連帯”を求めて葛藤する寂しい生き物だと思うのですが。 そんな壊れかけた関係を修復へとゆっくりと歩み始める日々を描いた作品。
 アコーディオンを使った過剰にならない程度に節度を保ったメランコリックな音楽も程良く、本当にしみじみと心に沁みる一品だった。 

 アッコルシは最初こそ頭髪の後退が気になりつつもたらーっ(汗)さすがの演技力で惹き付けてくれて夫婦の機微など顔色一つで表現して上手いですねぇもうやだ〜(悲しい顔) 夫婦喧嘩とその後の複雑な感情表現のリアル度に、この監督の人間観察の鋭さを感じつつ泣き笑いしてしまった。
 ゲイ・カップルのパートでは、息子が同性愛者と知った親の”衝撃”とその後の”理解”の部分は、アン・リーの「BBM」や、性同一障害を扱った「トランス・アメリカ」などとその心情に共通するものがあって、今日的なテーマだと思ったし、悲劇に対面して敢えて明るく対応する義母の存在が上手くクッションの役目を果たしていてとても印象深かった。「僕を葬る」の主人公の孤独などにも共通する辛い部分も含めて、監督自身の人生と重なる部分があったらしい。


『日々と雲行き(Giorni e nuvole)』
日々の雲行き3.jpg
2007年イタリア/スイス
監督:シルヴィオ・ソルディーニ「ベニスで恋して」
出演:アントニオ・アルバネーゼ、マルゲリータ・ブイ、アンブラ・アンジョリーニ 他

日々.jpg長年の夢だった美術史の学位を手にし有頂天の妻を精一杯の愛情で祝ってやる夫。。がしかし、実は彼は2ヶ月前に共同経営者の友人に裏切られ会社を追われていた事をずっと言い出せないでいる。 事実を突きつけられ平均レベル以上の優雅なアパートから数ランク下の場末のアパートへの引越しなど、生活が激変しイライラが募る二人。 実家からとうに自立し、恋人(まったく親が見ると気に食わない男たらーっ(汗))と暮らしている娘にまで八つ当たり。 プライドが邪魔してなかなか新しい仕事につけず、開き直って始めたバイク便の仕事の途中を街中で娘に見られてしまう・・。

 これまた「対角に土星」と共通するテーマを持っているけれど、それを夫婦の関係に絞って、修復への道のりを描いた暖かい作品だった。 家やヨットを手放し、更に生活のために好きなこととはかけ離れた仕事に就いたりする、涙が出るほど情けない気持ちなどが演技力のある役者さん達によって良く伝わってまったく身につまされる話だった。(終了後のQ&Aでもそんな感想が出た)
 舞台となったジェノバ(イタリア北西部の港町)の海岸沿いの街の風景が美しく、主な産業である造船関係の仕事だった夫の失業、宮殿などの歴史的建造物も多いという条件を生かして妻がフレスコ画の修復の手伝いをしているという設定なのも良い。 
 長年積もった汚れを注意深く落とし、美しい壁画が現れてくる様は、正に曇って見えなくなりかけたけれど長年培ってきた夫婦の絆の強さを「美しいもの」と思えるまでの修復の道だったと結ぶラストは感動的だった。

posted by マダムS at 13:53| Comment(11) | イタリア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!さっそくお邪魔しました。
そうですよねー、ステファノはなにかが違う、と思っていましたが、原因は頭髪の後退だったのかも(笑)。
オズペテク監督の描く、親子やカップルの葛藤、心の襞の描き方は秀逸だと思います。それから、ロレンツォの両親にしても、またステファノ演じるアントニオの愛人にしても妻にしても、どんな状況にあったも品がある、というのも監督の美意識かなと思いました。

日々と雲行きは本当に身につまされるような話でしたね。家族の絆をもう一度考えてみるきっかけとなるような映画でした。

マダムSさんの他作品の感想も楽しみにしてます♪
Posted by puntarellina at 2008年05月05日 23:27
こんにちは。さっそくお邪魔しました。
そっかー。ステファノはなんか違うと思ってたのですが、原因は頭髪の後退だったのですね(笑)
それにしてもオズペテク監督の、人間の葛藤、心の襞の描き方は秀逸だと思います。そして、ロレンツォの両親も、ステファノ演じるアントニオの愛人も妻も、どんなときでも品があるというのが、オズペテク監督の美意識かなと思ったり・・・

「日々と雲行き」は身につまされるお話でしたよね。家族の絆をもう一度考えるきっかけになるような作品でした。

マダムSさんの他作品の感想楽しみにしています^^
Posted by puntarellina at 2008年05月05日 23:37
最初のコメントがアップできず消えてしまったように思え書き直したら、両方ともアップされてしまいました。
す、すみません(^^;
Posted by puntarellina at 2008年05月06日 00:36
★puntarellinaさん
わぁ〜 ごめんなさい! せっかく初めて来て下さったのに、ご面倒おかけしてしまったようでスミマセン!m(_ _)m そうなんですよ〜ここってどうも調子が悪くてちゃんと反映されないように見えたりするんです。でもちゃんと下さったコメントは残っていますので大丈夫なんです。懲りずにまた遊びに来て下さいね!!m(_ _)m
オズペテク監督は私は初めてだったのですが、いいですねぇ〜!他の作品も観たいのですが、どうも日本ではDVD化されてないようなんですよね(TT) 
やっぱり座談会後のサインも貰えば良かったかなと思ったり・・。
「日々と雲行き」は一般公開もされると良いですね〜
Posted by マダムS at 2008年05月06日 07:39
こんばんは。
…そうか、「修復」には二重の意味があったのですね。
気づきませんでした(苦笑)。
結構こういう大事なことを人に言われて気づくワタシでした。
ちなみに、ジェノバといえばジェノベーゼ。
ソースの作り方は私の名前をクリック。
(ヘンなサイトではありません)
Posted by わかば at 2008年05月06日 21:56
★わかばさん
いえいえ・・
”的外れで勝手な思い込み”なこともしばしばなワタクシでございますので、自信持って言えたりはしないんですけれども(^^;)これは監督上手いなぁと思いまして。
はーい♪ジェノベーゼですよねっ(謎爆)
ソースのレシピご紹介ありがとうございます〜♪
こうやって自分で作ればいいんですけれども、以前友人の食べてるのを3本ほど(爆)食べさせてもらっただけなので、今回取り合えず市販の買ってきて味見してみましたらかなり美味しかったので、次回は是非”自家製”に挑戦してみようかなーと思ってます(また口だけになるかな?笑)
Posted by マダムS at 2008年05月07日 07:33
「日々と・・・」はレビューを読ませていただいて特に見たいと思った作品ですが、これ、もしかしてもうこちらで公開になったかも。なんとなくポスターに見覚えがあるんですよね・・・。

夫婦の絆の修復をフレスコ画の修復と対比させてるあたり、ほんとによさそうです。

そしてステファノさん・・・頭が後退ですか・・・。
Posted by nouilles-sautees at 2008年05月09日 23:10
★nouilles-sautees さん
「日々と〜」は 今回観た中では実は私も一番良かったかなと思える作品なので、お時間あれば「対角〜」と共にレンタルDVDなどいかがでしょう〜?
ステファノは、最近フランス映画が多いみたいですけど今回は以前一緒に仕事した監督からまた声掛かったんでしょうね、私生活そのまんまじゃないか?と思えるような自然な演技でした(笑)頭髪の後退だけが心配ですわ(爆)

Posted by マダムS at 2008年05月10日 15:25
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