2008年05月15日

アカデミー賞関連で3本 『ノーカントリー』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『モンゴル』  

モンスター達の変遷・・

モンゴル.jpg ゼア.jpg ノーカントリー3.jpg  

何故、どうして、彼らは人を殺したのか?
映画で学ぶ殺人の”理由”
なんて、そんな事学びたくもないですけれども。。

3つの作品を鑑賞してみて、「ノーカントリー」の老保安官ならずとも「昔はこんな」とボヤキたくもなりますよねぇ。


『モンゴル』
第80回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート(カザフスタン)
監督・脚本・製作:セルゲイ・ボドロフ
出演:浅野忠信/スン・ホンレイ

 こちらは侵略、支配の拡大→国家統一の為の大量殺戮
今回のチンギス・ハンは、類まれな統率力を持ち、大きな包容力で家族を愛する魅力的で頼もしいヒーローとして描かれていましたが、それは演出と演じた浅野クンの雰囲気の良さに負う所が多いと思います。
鑑賞後に感じたのは、やはり人間は戦争の繰り返しで歴史を作ってきたのか・・という事。 広大な帝国を作り上げていく中で数え切れないほどの命が奪われているはずですものね。
モンゴルの雄大な自然とか美しい映像に心奪われたのも事実でしたが、心に残ったのは何故かそういうことでした。


『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
第80回アカデミー賞 主演男優、撮影賞受賞
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス/ポール・ダノ

 富を得た事で猜疑心の塊と化した孤独な男の恐怖と乱心からの殺人
 出生の秘密を明かされ「貴方の血が流れてなくて良かった」と息子に言われるほどまでに、地に落ちてしまった人間性。。どの辺りから男は誰も信用しなくなってしまったのだろうか? 苦労を共にしてきた仕事仲間との関係や、そのような男の性格を形作った生い立ちなどの説明のヌケがちょいと気になる脚本で、最初の方のダイナミックな油田シーンなど、幾つか映画的にとっても魅力はあるものの、やはりオスカーの受賞結果そのまま(主演男優賞と撮影賞のみ)に評価される作品でしょうか。。


『ノーカントリー』
第80回アカデミー賞 作品、監督、助演男優、脚色賞受賞
監督:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
出演:トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン

 時代が進んで・・理由なき殺人に至る?

国家統一の為でもなく、孤独と猜疑心に追い詰められてでもなく・・
特別な思想の為でもなく・・
まるで趣味を楽しむかのように人を殺めていく主人公はまるで感情の無いモンスターと化している。 映画は彼が何故そのようなモンスターになってしまったか?その説明もまったくなく進んでいく。 消えた金をひたすら追い、金を持ち逃げした男を不気味に追い詰めていく様子(あのヘアスタイルもあせあせ(飛び散る汗))が、あんまりにもオカシ過ぎるので、恐怖を超えてつい笑ってしまった。
「こんな殺人は昔はなかった」と老人が嘆くように、やっぱりどこかオカシイいよ。。っと言えるうちはまだ自分もまともなのでは?


 血と暴力に満ち、救いようの無いラストが昨今受けるのか?
9.11以降、愛とか家族とかハート・ウォーミングな癒し系の作品がしばし続いたあと、また傷口を広げるような暴力的な作品がオスカーを取る理由が解らなかったが、「毒をもって毒を制す」と考えるべきなのか? ううむ。。
posted by マダムS at 16:19| Comment(10) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
体調崩して死んでましたが、また今日から復活です〜!

今回のようにアカデミー賞関連作品で記事を綴って行くのは分かりやすくって良いですネ。
(・・・自分は「モンゴル」は見逃してしまいましたが。うううう)
「ゼア・ウィル」と「ノーカントリー」
2本共、行き場を失った今の大国アメリカを現わしているような気もしますよねん。
観た後に孤独感や虚しさをひしひし感じるのも同じでしたし・・・

>あんまりにもオカシ過ぎるので、恐怖を超えてつい笑ってしまった
そーなんですよ!とっても恐ろしい殺人鬼の話なのに、ど、どこか可笑しい・・・笑
やはり毛先がくるんとしたおかっぱ頭と執拗に追い詰める様子があまりに正確できちんとしているからなのでしょうか・・・?フフ
Posted by Puff at 2008年05月21日 16:17
★Puffさん
少し元気になられたようで良かったです。
でもまだあまり無理しないで下さいね。くれぐれもお大事に(ーー)b

「モンゴル」と「ノーカントリー」は結構前に観たんですが、感想さぼってまして(^^;) ちょうど今作を観た事だしで、まとめてみました(爆)

「モンゴル」はロシア映画なので、オーソドックスな”ヒーローもの”になってました。
アメリカが作ると最近どうも自虐的なものが多いような気がしますよねぇ(ーー;)
”きちん”と殺すまで執拗に追いかけるという、妙な潔癖症みたいのがね・・なんとも不気味で可笑しかったですよねぇ〜ハビエル!
あまりお友達には欲しくないタイプです(当たり前)
Posted by マダムS at 2008年05月21日 22:02
こんばんは。
今日はお知らせ有り難うございます。
嬉しいです♪

でで、「モンゴル」ご覧になって頂けたのですねぇ〜!
あまり見ている人がいなかったので、嬉しいですよ〜♪
私は以前、井上靖の「蒼き狼」の舞台を観て、すっかり舞台にのめり込んだのですが、それ以来、チンギス・ハンには興味があるんです。反町隆史の邦画「蒼き狼」も観ているんだけど、反町のオーバーな演技と比べて浅野クンの品格を感じさせる演技には惚れ込んでしまって・・・。
確かにイギリス・アメリカしかり、このモンゴルもそしてイラク。人間は戦争の繰り返しで歴史を作ってきたんですよねぇ〜。
で、この映画の演出やテムジンの描き方による好感度があるけど、
私は現在進行中のあの中国と比べると正反対に位置すると思いました。
監督のねらいはそこにあったのでは?と思ったんですよ〜〜。
テムジンの大きな包容力・寛容の精神に寄って、他人を認めるということ。宗教も認める・・・と言うこと。
それが、今の中国にあったら、今みたいな事がなかったのでは?
この映画から飛躍ですが、そういう事を考えました。

まったく3作とも重い作品ですよねぇ〜。
見終わっての凄い疲れ。
あ、私も遅ればせながら「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」を見てきました。
うふふ、ダニエル・ディ=ルイスの以前からのファンなので・・・。あ、前にも書きましたか?
でも3作とも見応えあって、毎回ではたまりませんが、たまには試練の時を過ごすのも価値があるかなぁ〜などとも思いました。(自虐的?)笑。

Posted by 紫の上 at 2008年05月22日 00:23
★紫の上さん
おおお〜 さすが紫の上さん!
今までにも舞台や反町君の映画など、色んなチンギス・ハンをご覧になっていらしたのですね〜!? 比較が出来て面白いでしょう。
今作はそうそう!浅野忠信の押えた演技が光っていましたね〜 といっても今までで最もアクティヴな役柄だったかしら(笑)

 >テムジンの大きな包容力・寛容の精神に寄って、他人を認めるということ。宗教も認める・・・と言うこと

 わぁ〜そうですね!そこが「今の世の中で一番必要なことではないか?」と監督は言いたかったのでしょうか。 観ていて私ったら「出来過ぎ?」なんて意地悪く観ちゃったんですが、監督としては昔のヒーローに「真のヒーロー」を求めたんでしょうね〜〜。本当に一国のリーダーがこういう考えの持ち主であれば世界中が平和になるんだろうと思います。 そう思うと奥の深い映画でもありましたね〜!

うふふ。覚えてますとも!紫の上さんはDDルイスのファンでいらしたものね!! 「ゼア〜」は必ずご覧になると思ってましたよっ! もう完璧な演技でしたねっ!
アカデミー主演男優賞も納得の素晴しさでした!!
いや〜試練続きでしたから、久々におフランスのコメディーも良かったですよん♪(笑)
Posted by マダムS at 2008年05月22日 14:28
>監督としては昔のヒーローに「真のヒーロー」を求めたんでしょうね〜〜。本当に一国のリーダーがこういう考えの持ち主であれば世界中が平和になるんだろうと思います。 そう思うと奥の深い映画でもありましたね

そうです!そうです!
私が言いたかったこと!
さすがマダム!嬉しいです〜♪

初めなぜ、今モンゴルなの?チンギス・ハン?なのと疑問に思ったんです。そして、このセルゲイ・ボドロフ監督、通り一遍の映画ではないのでは?など思って、↑の深読みになった次第です。
ローマが偉大なローマ帝国になったのは、あのカイザルに↑のような心があったからだと聞きました。(あのテレビドラマは面白かったですよねっ!)

それから余談ですが、判官贔屓の人々は「義経が逃れてチンギス・ハンになった」と昔から言っているみたいですが、なんだか日本人の浅野忠信がハーンを演じたのも因縁を感じます。これまた深読み?爆

まぁ〜、いずれにしても戦いと殺しの3作品はお世辞にも好きな映画とは言えないですので、気分転換が必要ですよねっ♪
Posted by 紫の上 at 2008年05月22日 23:05
★紫の上さん
いえいえ(^^;)時々自分の狭くて浅はかな考え方が恥ずかしくなることがあります〜思っていても上手く書けなかったり・・。
こうして色んなコメント頂いて「そうそう!それそれ!」な〜んてね!(^^;)

あ、そうか!そういえば仰る通り、ローマ帝国があれほど繁栄したのは「他者を受け入れる懐の深さがあったからでは」と、あの「ローマ人の物語」の著者=塩野七生さんも仰ってましたね〜 ←読み始めて途中で放りだしてますが( ̄ロ ̄lll)
ドラマ「ROME」もホント面白かったですね♪

義経=チンギス・ハン説も 面白いですよね〜実際には少し時代がずれてるらしいと何処かで聞いたような? ちょっと歴史の勉強もしなおさなければ。。←全然してないくせに自分( ̄ロ ̄lll)

そうなんです〜 お口直しにフレンチコメディも良いですよ^^ すぐ近くの文化村ミュージアムで、「薔薇空間」っていうボタニカルアートの展覧会やってまして、
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_08_rose.html すぐそばのカフェ=ドゥマゴ前のテラスに沢山薔薇が!!
6月15日までやってるようですから、薔薇鑑賞しがてらお出かけになってもよろしいかもです♪
Posted by マダムS at 2008年05月23日 09:04
ご紹介頂いたサイトを覗いてきました。
マリー・アントワネットやジョセフィーヌ
に使えた宮廷画家ルドゥ−テのボタニカルアートの展覧会なのですねぇ〜。
ボタニカルアートって、初めてですが、
何枚かのっている薔薇の絵、素敵ですねぇ〜!!うっとりしてしまう。
本物を観たら、さらにうっとりしてしまいそうです〜〜〜!!!
いやぁ〜、観たくなりましたよっ!
6月15日までですねぇ〜。
時間を作って是非行ってこようかしら・・・。
すぐ近くのカフェのテラスでは沢山の薔薇が観れるんですねぇ〜。メモメモ。

ご紹介有り難うございました。(^-^)

あ、塩野七生さんのイタリアの歴史の本、沢山ありますよね?[
「ローマ人の物語」もあるのですねぇ〜。
私も以前から読みたいと思いつつ、まだ挑戦していないヘタレです〜(^^;
長そうで・・・。
Posted by 紫の上 at 2008年05月23日 23:18
★紫の上さん
カフェはこちらです↓(笑)
http://www.bunkamura.co.jp/restshop/magots/index.html
ル・シネマとか、東急百貨店とかお出かけになった時にきっと必ず見かけていらっしゃるか、何度もご利用されてるカフェかもしれませんね〜。
塩見さんの本は、イタリアへ行く前に何冊が短いものを読みましたけど、あの「ローマ人の物語」は 長い〜〜〜んんですよねぇー!私もヘタレですのでまだカエサルが出てくるところまで読めてませんのです(爆)
Posted by マダムS at 2008年05月24日 20:21
あらら、カフェ=ドゥマゴですねっ。写真を見たら、私も何回か行ったことがあります〜〜〜!
ランチを食べましたが、ここの名前が以前から覚えられなくて(^^;
素敵な所ですよねっ♪
ここのテラスの前に薔薇があるんですねっ!

映画鑑賞+ランチ+薔薇空間のコースで、
フランスの香りを思いっきり楽しむ〜〜!
それこそ「ライフ・イズ・ビューティフル」かしら?笑。
Posted by 紫の上 at 2008年05月25日 21:12
★紫の上さん
おお!やはりご存知でしたか!
いつも混んでて中々利用出来なかったのが、2年ほど前にやっとテラス席に座れてよろこんだら「ランチは終了しました」なーんて言われ・・今回初めてやっとランチにありつけました。
私は映画+ランチだけだったですけど、バラを眺めながらの美味しいランチだけでもライフ・イズ・ビューティフル〜な気分でしたよ〜♪(^^)v
Posted by マダムS at 2008年05月26日 00:19
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